教科書批判

2009年11月 1日 (日)

教育出版「中学社会歴史」批判最終回(現代+蛇足)

いよいよ最終回です。勢いで書いてしまいました(笑)

第7章 現代の日本と世界

2.国際社会と日本

マル1.超大国への抵抗 冷戦下の動き

マル2.巨大コンビナートの出現 高度成長の光と影

ご近所調査隊 戦後の地域の移り変わりを調べてみよう

マル3.豊かな暮らしのきしみ 国際社会の動きと国民生活

マル4.変更する国際社会 冷戦の終結と国内政治

マル5.わたしたちの生きる時代 現代世界のなかの日本

ひとびと探検隊 現代に生きた人々 平和を願う人々

マル(番号なし).世界のなかの市民の一人として

Kyodai_conbi マル1からマル4まであまりコメントありません、外国の話が多くて、日本の話が少ないように感じるくらい。また、どうでもいいけど、この「ゴミの山の前でにこやかに歌いそうな女子中学生」って、萌えないなあ(笑)

マル5.わたしたちの生きる時代 現代世界のなかの日本

Rati 北朝鮮による拉致被害が大きく取り上げられています。それはいいのですが、中身は問題。

『2002年には日朝首脳会談がひらかれ、両国は国交の正常化をめざす日朝平壌宣言に署名しました。北朝鮮は日本人拉致の事実を認めて謝り、一部の拉致事件被害者の消息を明らかにしました。そして被害者の一部の帰国が実現しました。しかし、日本政府は、明らかにされていない被害者の消息、および被害者の家族の帰国を求める交渉を、なおもねばり強くつづけています。』

北朝鮮が明らかにした消息がウソであり、その後も不誠実な対応が続いていること、全く書かれていません。特に、「被害者の家族の帰国を求める」とは、横田めぐみさん他の被害者は既に死亡、という北朝鮮の主張に沿った書き方でひどい。当然「被害者全員の帰国を求める」と書くべき。

これで歴史の教科書はおしまいです、と思ったら…

この後の4ページがとんでもない。サヨクのチラシと言っても過言ではないくらい。

Heiwa_sagi ひとびと探検隊 現代に生きた人々 平和を願う人々

平和を願う気持ちはのんべも人一倍強い。戦争なんか冗談じゃない。でも「憲法9条」「非核・平和都市宣言」の言霊だけで日本が守れるのでしょうか。もちろん、強い自衛力なくして日本が守れるはずもありません。原爆を二度と食らわないためには、原爆無力化兵器が開発されるまでは、アメリカの威を借りるか、核武装する他ないでしょう。

自衛力強化に反対する「反戦平和運動」こそが、軍靴の音を聞かせるもの。憲法9条教信者とは、祈りで平和を実現する聖者なのでしょう。その裏で戦争大好き連中が高笑いしていますけど。

話をこの見開きのコラムに戻しますが、反戦平和運動をとりわけ取り上げているのは、反戦平和こそが尊い、という刷り込みをしようというもの。極めて危険です。

Dasoku_1 マル(番号なし)世界のなかの市民の一人として

「世界市民」の推奨?「歴史」の教科書ですよ?

「阪神淡路大震災でボランティア活動をする中学生」は素敵な写真ですが、それなら現代史のひとこまとして、阪神淡路大震災(それに同年のオウム事件)を取り上げるべきでしょう。

小見出し「生活環境を考える」は、全文引用してみます。

『現在、世界の一体化がますますすすみ、多国籍企業の活動が活発化しています。また、インターネット、Eメール、携帯電話などが急速に広まり、情報は一瞬のうちに国境をこえていくようになりました。
日本は、第二次世界大戦後、世界有数の経済力をもつ国に発展しました。しかし、1990年代からつづく経済不況のなかで、失業者がふえ、家庭・学校・社会では、人と人との結びつきが弱まっています。いっぽうで自然環境も破壊されています。あらためて、自然環境や資源を守り、自分と異なる考えをもつ人々との間に、親しい結びつきをつくり出すことが求められています。』

これ、事実の羅列?不況だから人々の結びつきが弱まっているの?「あらためて」以下の文章はなに?プロパガンダを狙ったのはわかるけど、なんだかよくわからん文章になってます。蛇足の爪か(笑)

小見出し「人権を尊ぶ」は、「人権擁護法案」を思い起こさせるような内容。

『女性や子どもの人権を尊重』って、これ以上尊重してどうするんですか。また、多くの日本人は『在日外国人、外国人労働者への差別や偏見』などもってません。合法的に日本に来て真面目に暮らしている外国人は素晴らしい仲間です。ただ、犯罪者を許すな、ゴミ出しなどのマナーを守らないのは困る、わがまま勝手を通すために被害者面するな、と思うだけ。それを「差別と偏見」などと書くのはサヨクの手口です。

小見出し「平和を築く」は、ご想像の通りですが、一言だけ。

『戦争の放棄を宣言した日本国憲法と非核三原則を守り』って、非核三原則は日本国憲法と同列かよ(笑)

これで一通り読み終わりました。アタタタタタタタ…オワッタ…非常に忍耐力のいる作業でした…読者のみなさまもお疲れ様でした。

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2009年10月31日 (土)

教育出版「中学社会歴史」批判その10(戦後)

なかなか進みません。そりゃあ民主政権ではやる気にならんわなあ…まあ、気を取り直して、この連載はあと2回、そして憲法の勉強もなんとか頑張ります。

第7章 現代の日本と世界

1.第二次世界大戦後の日本と世界

マル1.大日本帝国から日本国へ 連合国軍の日本占領と民主化

マル2.新しい社会への出発 戦後の諸改革

マル3.火をふく38度線 冷戦と占領政策の転換

マル4.講和条約と安保条約 独立と国際社会への復帰

Gendai_nenpyou 本文に入る前に、第7章の扱う時代の年表がこれです。なぜか「中華民国」が途中で切れてます!!

中華人民共和国と中華民国が国連で入れ替わったタイミングのつもり?それなら中華人民共和国はそこまで「中国共産党政府」くらいの表現にすべきで、矛盾しています。ひでえもんだ。

マル1.大日本帝国から日本国へ

小見出し「占領下の民主化」

『GHQは、日本政府に指令を出して、軍国主義を取り除き、民主主義を推し進める政策を実行しました。まず軍隊を解散し、戦争の責任者を極東国際軍事裁判にかけて処罰しました』

『民主主義をおしすすめた』のはウソと思いますが、まあこういう表現になるんでしょうね。極東国際軍事裁判(東京裁判)は事後法による裁きという裁判の名に値しない単なる復讐劇ですが、そういう面には絶対触れられません。

『天皇は、自分が神の子孫であることを否定する「人間宣言」を出しました』

これは明白な間違い。「人間宣言」と呼ばれるのはこの部分。
-----------
朕ト爾(なんぢ)等国民トノ間ノ紐帯(ちゅうたい)ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、単ナル神話ト伝説トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神(あきつみかみ)トシ、且(かつ)日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念ニ基クモノニモ非ズ
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現御神であることを否定しただけです。

小見出し「日本国憲法」

『民主化の重要な柱は、憲法の改正でした』

違うでしょ。日本を骨抜きにするための重要な柱の間違いです。だいたい「民主」ほどインチキな言葉はないですね。まあ、それはともかく。

『連合国総司令部は…草案をつくって政府に示し、政府はこれをもとに新しい改正案…』

この通りですが、とんでもない戦時国際法違反です。

第43条 国ノ権力カ事実上占領者ノ手ニ移リタル上ハ、占領者ハ、絶対的ノ支障ナキ限、占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ、成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スル為施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ。

「事後法」「戦時国際法違反」は歴史の事実として伝えていくべきことなので、教科書に書くべきなのは当然ですが、この教科書に載りません。「新しい歴史教科書」にはコラムとしてある程度載っています。

なお、南樺太・千島をソ連が占領したことの注として『北方四島は、固有の領土(北海道の一部)であり、ロシアにはふくまれません。今もなおロシアの不法占拠のもとにおかれています』とあるのは結構なことです。

マル2.新しい社会への出発

蛇足と言ったら蛇の足が激怒しそうな記述、文末のコラム「戦後の処理~補償問題」。

『サンフランシスコ平和条約および各国との賠償協定によって、日本政府は「国家間の補償問題は完全に解決済み」としています。しかし、戦争時に日本軍の行為で被害を受けた個人に関しては、現在でもアジア諸国から、日本の加害について補償を求める動きがつづいています。』

政府見解でおしまい。「中学歴史教科書」に書くべきことではありません。

マル3.火をふく38度線

『共産党は…1949年、毛沢東を主席とする中華人民共和国を成立させました。いっぽう国民政府は台湾に追われました』(欄外注)『台湾にのがれた国民政府は、大陸の中華人民共和国と対立しました。日本は、1972年に中華人民共和国と国交を正常化し、台湾との国交を断ちました』

先程の年表では「中華民国」とする時期もあったのに、こちらでは「国民政府」と「台湾」ですねえ。「中華民国」は消されてしまいました(怒)

『北朝鮮が武力統一をめざし、ソ連の支援を受けて南下したことをきっかけに朝鮮戦争がはじまりました』

南下、ねえ。これってどうみても「侵攻」なんですけどねえ。なんかの見間違いかな(苦笑)

マル4.講和条約と安保条約

あまりコメントはありませんが、安保改定につき『政府与党が十分な審議をしないまま衆議院で採決を強行』に対して『「議会主義・民主主義を守れ」…その声は全国に広がりました』と反対があがったこと、よく記憶しておきましょう。これから民主党が強行採決するでしょうが、どうせマスコミはなんにもいいませんから(笑)

Hoppou_ryoudo なお、ここで今度はソ連が平和条約の調印を拒絶し、千島列島の帰属が決められなかったこと(南樺太もそうだけど、なぜか抜けている)に関連して、北方領土が我が国固有の領土であることが記述されているのは結構なことです。

次回はいよいよ最終回で現代史。とんでもないのが待ってます(苦笑)

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2009年9月26日 (土)

教育出版「中学社会歴史」批判その9(第二次大戦)

民主党政権が誕生し、とんでもないことばかり起こるので、歴史教科書を読む気分にもなりませんでした。でも、せっかくここまで連載したのであと少し頑張ります。

第5章 二度の世界大戦と日本

2.第二次世界大戦と日本

マル1.独裁者の登場 世界恐慌とファシズム

マル2.孤立に向かう日本 満州事変から国際連盟脱退へ

マル3.政党政治の終わり 軍国主義の高まりと日中戦争

マル4.総動員の戦争体制 戦争のための生活統制

マル5.アウシュヴィッツのユダヤ人 第二次世界大戦のはじまり

マル6.占領下の人々 太平洋戦争と東南アジア

マル7.欲しがりません勝つまでは 戦時下の国民生活と植民地

マル8.おびただしい死者たちの上に 軍国主義の敗北

ひとびと探検隊 近代に生きた人々 外国から愛された人々~杉原千畝と浅川巧

マル1.独裁者の登場

Hatoraa『世界恐慌のもとで、社会不安が広がると、人々はファシズムの政治に期待し始めました。2009年には、日本でファシズムを目指すミンチ党のハトラーが首相になりました。ハトラーも独裁者になり、反対派や日本人を迫害しました』という記述が…あるわけない(笑)、正しくはもちろん、1933年・ナチ党・ヒトラー・ユダヤ人、です。(写真は一カ所のんべアサヒリ(笑))

冗談はともかく、スターリンについて記述がちょっとだけあり『スターリンの独裁が強まり、社会主義の建設を強引にすすめ、抵抗する農民や少数民族は弾圧されました』です。弾圧などという甘いものではなく、とんでもない大虐殺があったことは知らんぷり。

マル2.孤立に向かう日本

満州事変ではひたすら、日本が侵略して傀儡国家満州国を作り実権を握った、という立ち位置で書いてあります。要するに、東京裁判史観。東京裁判に証拠として採用されなかった名著『紫禁城の黄昏』で、満洲国は、満洲という土地に、満洲族一番の直系の王族が戻ってきて建てた国であることは、はっきりしています。

だいいち、満州は中共のものではなく、あくまでも満州人のもの。ところが、真っ先に中共による民族「浄化」の犠牲になりました。

そう書くと中共が怒るでしょうから、こういう偏った表現になっています。まあこれは教科書会社の責任とは言えず、近隣諸国条項がある限り仕方ないことですが…

マル3.政党政治の終わり

ここは酷い表現の連続。

小見出し「軍国主義の高まり」

二・二六事件の記述『軍部はこの反乱をしずめる…』とあります。全く不正確な記述。二・二六事件を鎮めたのは、昭和天皇陛下の断固たる決意です。陛下の決意が反乱軍に伝わったとき、将校は自決・出頭したのです。この表現では、軍が戦闘で鎮圧した、としか見えません。

小見出し「日中戦争のはじまり」

『同年(注:昭和12年)12月、中国の首都南京を占領しました。このとき、日本軍は混乱のなかで、多数の捕虜や住民を殺害して、国際的に非難を受けました(南京事件)(注1)』

注1『このことは当時、国民には知らされませんでした。国民がこのことを知ったのは第二次世界大戦後でした。』

はい、南京事件はあったことになってますね。国民がこのことを知ったのは第二次大戦後は間違いないとしても、それは1971年の本田勝一のアサヒル報道でしょ(笑)

南京事件は30万人説(だんだん増えます(笑))からまぼろし説まであるのだから、一方的に断罪するのは反則です。ただ、例の近隣諸国条項のせい…

小見出し『中国全土に広がる戦争』

Mao_2『蒋介石の指導する国民政府と毛沢東の指導する中国共産党の内戦…共産党は協力して日本に抵抗するようよびかけ、1936年、内戦は停止…』

まあそうなんでしょうけど、日本の相手は殆ど国民党だったんじゃないですかね。で、毛沢東の写真が大きく出ています。世界史上最高の大虐殺者なのに、触れてはいけないらしい。

その4.総動員の戦争体制

一番問題になるのは最後の小見出し「皇民化政策」でしょう。

『朝鮮人に対しては、日本人に同化させようとする皇民化政策がいっそう強められました。日本語の使用や、日本式の氏名にあらためること(注2)がおしすすめられ、神社への参拝が強制されました(注3)。』

注2『このことを創氏改名とよびます。』

注3『このような政策は、台湾でもすすめられました。』

創氏改名は、朝鮮式の「姓名」に加えて日本式の「氏名」を持つことを可能にした政策です。

Sasagetutu また、台湾で神社への参拝が強制されたということはないようです。学校行事で戦勝祈願の参拝があった程度らしく、普通の「習慣」で、「強制」というのは大げさ。この写真はその7に載っているもので、内地の様子ですが、似たようなもんでしょう。

NHKがJAPANデビューで参拝を強制したと言っていましたが、それの根拠を聞かれると答えられなかったそうです。

(「自由主義研究会」様、「台湾は日本の生命線」様を参考にしています。感謝)
http://www.jiyuu-shikan.org/rekishi74.html
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-762.html

マル6.占領下の人々

『アジアから欧米の勢力を追い出し、アジア民族だけで繁栄していこうという「大東亜共栄圏」を提唱…』

あれ、「東アジア共同体」とやらとよく似てますね(笑)

戦争の名前は「大東亜戦争」なのに「太平洋戦争」ばかり、注書きで小さく『政府は…「大東亜戦争」とよびました』。じゃあ「太平洋戦争」とは誰がそう呼んだのでしょうかね。

マル7.欲しがりません勝つまでは

朝鮮や台湾では、戦争末期に志願兵制度があらためられ、徴兵制がしかれました。多くの人々が「日本軍兵士」として戦場に送られ、また、多くの朝鮮人女性なども工場などに送り出されました』

志願兵制度で、応募が殺到して倍率が恐ろしく高かったことなどはスルーされていますね。そりゃそうか(笑)

マル8.おびただしい死者たちの上に

まず、この「おびただしい死者たちの上に」は表題としてふさわしいのですかね。前章の「欲しがりません勝つまでは」もなんとなく悪意を感じたけど、まあそれは当時の標語。この「死者たちの上に」って、意味不明でさらに悪い。死者に感謝と敬意を捧げ冥福を祈るのが当然なのに、「上に」とは死者を踏みつけにする表現、失礼の極みです。

『日本の降伏の条件を示すポツダム宣言』は正しい記述。意外でした(笑)

「日本は8月14日にポツダム宣言を受け入れて降伏…翌15日の天皇のラジオ放送』で、この記述だとポツダム宣言受け入れを決めたのが政府であるように読めるので、「天皇が決断し」の一語が欲しいところ。

また、「朝鮮…解放されました」は違うはず。朝鮮は米軍の占領下におかれて、「解放」されたのはもっと後です。
さらに、シベリア抑留死者数が「5万人以上」というのは少なすぎ。wikiでは37万説まで紹介しています。

もうひとつの大きな問題は、日ソ不可侵条約破棄、シベリア抑留、原子爆弾、などなど、連合国が日本になした悉くが戦時国際法に明らかに違反していることを全く記載していないこと。

Tiuneひとびと探検隊 近代に生きた人々 外国から愛された人々~杉原千畝と浅川巧

ユダヤ人を多く救った杉原千畝を取り上げるのは素敵なことです。でも、ユダヤ人救出で活躍したのは彼だけ?「杉原千畝 東條英機」でググると…ありゃ、うちのブログが出てきました(苦笑)

http://nonbe.way-nifty.com/blog/2007/05/post_66d2.html
「ところで、ユダヤ人救出では、杉原千畝と並び、東條英機も大きな働きをなさっています。関東軍参謀長の頃、ソ満国境のオトポール駅に数万人のユダヤ人難民が日本に救いを求めて殺到、樋口季一朗少将は、東條参謀長と相談し、緊急に救援列車を送って、彼らを安全圏に逃がしました。

同盟国のドイツから、また日本の外務省から猛烈な抗議がきた時に、東條英機氏は「日本はドイツの属国ではない、人道上のことが大事なのだ」といって抗議を一蹴」

はい、もちろんこの教科書でも東條英機や樋口季一朗のことは出ていません。東條英機はヒトラーに匹敵する極悪人、という中共史観に反することは書いてはいけないらしい。

あと、浅川巧って誰ですか?知らないよ?でも、こういうコラムならありかも知れません。朝鮮白磁のすばらしさを発見し、朝鮮の子供達を援助するなどして多くの朝鮮人から慕われた方だそうです。もっとも、他に取り上げるべき人物はたくさんいるので、優先順位としては明らかに???ですけど。

もう嫌になりました。現代史は簡単に流しましょう…と、できないのがこの教科書の恐るべきところ、最後の最後にもとんでもないのが控えてます(怒)

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2009年8月30日 (日)

教育出版「中学社会歴史」批判その8(第一次大戦前後)

夏休みも終わったし、選挙も行ってきたので続きを。今回は第一次大戦後まで。

第5章 二度の世界大戦と日本

1.第1次世界大戦

マル1.総力戦の衝撃 第1次世界大戦とロシア革命

マル2.連合国の一員として 第1次世界大戦と日本

マル3.不戦の誓い 国際連盟と民主主義の広がり

マル4.わきあがる独立の声 アジアの独立運動

マル5.デモクラシーの波 政党政治と社会運動の広まり

マル6.大衆文化の形成 都市生活の広がりとラジオ放送

今回はここまで。

マル1.総力戦の衝撃

「…帝政はたおれました。しかし、新しい政府も戦争を続けたため、同年、「すべての権力をソビエトへ」とうったえたレーニンの指導で政府はたおされ、ソビエト政府が成立しました。
ソビエト政府は社会主義をめざすことを宣言し、無賠償・無併合・民族自決の原則による講和を参戦国に提案しました。…」

ああ素晴らしいロシア革命よ!とでもいいたげ。もちろん、レーニンが世界史上毛沢東、スターリンに次ぐ大虐殺をしたこと、一言も触れていません。

マル3.不戦の誓い

「第1次世界大戦は、1918(大正7)年になると、同盟国側が敗北を重ね、ドイツも国内で革命がおこり、、ついに休戦を申し出たため同年で終わりました」

間違いではないけど、スペイン風邪が大流行して戦争どころではなくなった、という重要な事実を書いていません。戦死者の半分以上はこのインフルエンザの病死者と言われています。スペイン風邪とは、大戦に参加しておらずに情報統制外だったスペインで報道されたため名称が定着したようです。もっとも、この教科書を書いた時点では新型インフルエンザ騒ぎは起こっていなかったので、次の改訂版では直るかも知れませんね。

また、日本はパリ講和会議で人種的差別撤廃決議を提案し、11-5で賛成多数になったが、議長国アメリカが「重要な決議は満場一致が必要」と否決を宣言しました。その結果日本は世界から大きな共感を得たのです。

日本人として知っておくべき重要な話なのですが、「日本ばんざい」ですので、この教科書はは当然書かないわけです。

Wakiagaru_dokuritu マル4.わきあがる独立の声

「1919(大正8)年3月1日、京城などで朝鮮の独立が宣言され、街頭で「独立マンセー」をさけぶ行動がおこり、朝鮮全土に広がりました(三・一独立運動)。この運動は、平和的に非暴力ですすめられましたが、日本は警察や軍隊の力で、これを弾圧しました。…独立運動は5月までさかんにおこなわれました」

藤岡先生のページから一部引用(『』部)します、詳細はそちらを見て下さい。

『3.1独立運動で日本が最も非難されるのが、京畿道水原郡の堤岩里教会における放火・虐殺事件…このとき、まず3月28日沙江の警察官駐在所が襲われ、巡査部長が殺害されました。又日本人家屋が放火され、類焼した家屋を含め、10戸が焼失』

これを見ると、決して「平和的に非暴力」と言えないものだったようです。朝鮮の歴史でこの手の事件が起こるとどうなるかを見れば、それは明らかでしょう。また、

『三・一独立運動の後で、主犯とされた8人が僅かに懲役三年、有罪となった者は全部で37人。内乱罪の適用が高等法院で却下され、保安法及び出版法違反と言う微罪となった(一部省略しています)

などということも、その後の朝鮮半島統治が非常に穏和なものになったことなど、全く書かれていません。だいたい、穏和になったからこそ5月であっさり終結したんだろうに…

マル6.大衆文化の形成

コラム「関東大震災とその影響」に「大混乱のなかで「朝鮮人が暴動をおこした」などさまざまな流言が…多くの朝鮮人が殺される…」

流言蜚語による関東大震災朝鮮人虐殺事件、というのは歴史の評価として全く固まっていないどころか、最近の研究では流言蜚語でなく事実だった模様です。日本人は「虐殺」には縁のない民族、近代日本史で「虐殺」の記述が出てきたら、まず捏造を疑うのが常識。少なくともこんなのを堂々と教科書に書くべきではありません。

今回はここまで。次回はいよいよ第二次大戦。もう嫌だけど、あと少し頑張ろうっと。なんとか10月には終わりたいですね。

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2009年8月 8日 (土)

教育出版「中学社会歴史」批判その7(江戸末期~明治)

さあ、いよいよ近代。実はなるべく見ないようにしていたのですが、ついに読まねばならぬ?時がきました(苦笑)

第5章 近代の日本と世界

1.ヨーロッパ近代の成立とアジアの抵抗

マル1.広がる自由と平等 近代市民社会への歩み
マル2.産業革命の光と影 資本主義社会の成立
マル3.アジアの植民地化と抵抗 インドの大反乱と太平天国
マル4.黒船の衝撃 開国と社会変動
マル5.攘夷から倒幕へ 江戸幕府の滅亡

2.明治維新

マル1.すべてを新しく 封建制度の解体
マル2.富国強兵をめざして 明治政府の諸改革
マル3.国際関係の確立 明治初期の外交

ここまでは。正直、つまらん。この教科書、偏向しているところは手厚い記述になるのに、必要なところは薄い。ひどいもんです…

これはないだろう、というのは例によって国際関係。

2のマル3.国際関係の確立
小見出し「朝鮮との外交」抜粋

「1868年、対馬藩は朝鮮に明治維新を知らせる文書を伝えました。その内容は日本が朝鮮の上に立つものだったので、朝鮮は文書の受け取りを拒否しました」
なんのことだろう?明治維新を知らせるのに日本が上?なかなかこれだけでは理解に苦しむ表記です。

自由社の教科書を見たら納得。日本が出したのは国交を結ぶための文書。朝鮮が受け取りを拒絶したのは、日本の国書に不適切な文字が使われている、という理由。日本の天皇を表す「皇」の字は、中国や朝鮮では中国皇帝以外に使ってはいけない文字だったためということです。なんだ、要するに朝鮮は清の属国だから、清の属国でないと称する日本の国書は受け取れない、ということ。この教科書では、「朝鮮は清の属国」は禁句、ないしょ(はあと)…

コラム「北海道の開拓とアイヌの人たち」では知里幸恵が出てきます。「これ誰?」人物ですけど、アイヌ大好きなので大きく出てくること…

さて、いよいよ本命です、ここから本格的に酷い。

3.立憲政治のはじまりと日清・日露戦争

マル1.国会開設をめざして 自由民権運動と政党の誕生
マル2.立憲政治のはじまり 憲法の発布と議会の開設
マル3.朝鮮をめぐる戦い 条約改正と日清戦争

マル4.激動する東アジア 三国干渉と義和団事件
マル5.東アジアの大戦争 日露戦争と国際社会
マル6.保護国から植民地へ 韓国併合と辛亥革命

マル7.各地に工場が 日本の産業革命
マル8.糸を引くのも国のため 社会問題の発生
マル9.広がる新しい文化と生活 明治時代の文化と生活

ひとびと探検隊 改革を求めた人々 坂本龍馬と横井小楠

これはもう突っ込みたいところだらけ、嫌になります。

まずはマル2.立憲政治のはじまり

小見出し「憲法の特色」抜粋
「この憲法では、天皇が軍隊を統率し、戦争をはじめたり、条約を結んだりするなどの大きな権限をもち、憲法の規定にしたがって、大臣の補佐や議会の強力により、国を統治するものとされました。(二院制で議会が予算・法律を決めること、法律の範囲内で言論信仰等の自由・所有権不可侵が認められた旨の記述あり)

天皇の権力は万能で、天皇独裁だ!というような表現ですが、こんな馬鹿な。例えば「天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ」は、議会が法律を決めて天皇が公布すること、日本国憲法と変わりません。「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責メニ任ス」も同じ、大臣が天皇の名で行政を行うわけです。従って、天皇は無権限かつ無責任。「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」はそういう意味です。

NHKのJAPANデビューでは、第4条「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ」と第1条「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」は矛盾している、と言ってましたから、きっとこの教科書を見て番組を作ったのかも、憲法に従って統治することが問題らしい(笑)

大日本帝国憲法が、国内外から賞賛されたことも、当然のごとくスルーです。

小見出し「教育勅語」抜粋
「忠君愛国、父母への孝行などの道徳が、学校教育を通じて広められました」
と簡単に片付けてますが、この教科書の著者は読んだことないんじゃないの?のんべだって読んでるのに(笑)

マル3.朝鮮をめぐる戦い

小見出し「日清の対立と朝鮮」抜粋
「朝鮮でも近代化の努力がはじまりましたが、日本と清の干渉によって、十分な成果があがりませんでした」
 なんだこりゃ?もうやだ(苦笑)

小見出し「日清戦争と下関条約」抜粋
「日清戦争に勝利した結果、東アジアでの日本の勢いは大きくなり、日本人のなかには、中国や朝鮮に対して優越感や差別意識をもつ人もいました」
 そりゃあ、別にいつだってそういう人はいるだろうし…

コラム「台湾の植民地化」
「下関条約によって、台湾は日本の植民地となり、1945年までの約50年間にわたって日本に支配されました。そうしたなかで、鉄道などの輸送手段もせいびされていきました。日本は台湾に総督府をおき、日本に統治されることに反対する台湾の人々の運動も弾圧しました。しかし、日本からの独立を求める運動は、その後もつづきました」
 次の検定のときには、NHKJAPANデビューを根拠に、日台戦争が記述されるでしょう(笑)

マル6.保護国から植民地へ
Hogokoku_shokumin もう飽きたのでコピペやめますが(手打ちしてるから面倒なんですよ…代わりに写真を貼っておきます、クリックで読める大きさに拡大)いつものように日本悪い悪い史観で貫かれていて、韓国側でも日本に合併を求める声があったことなんか一切載っていません。これが日本の教科書、ひどすぎ。テロリスト安重根まで出てくるし…

Nandemon こんなの、例えば有名なこの写真をどう説明するんだろう…「嫌韓」の人たちなら、これに「日本統治後」で焼け落ちた写真を載せるでしょう。のんべはそこまではしませんけど…

マル8.糸を引くのも国のため
女工哀史やら社会問題やらは大好き。なお、ただ1点だけ評価できる点がありました、それは「現在から見ると、ひじょうに悪い条件で働かなければなりませんでした」の「現在から見ると」と書いてあること。

でも、もちろん「なぜ悪い労働条件でまで働かなければならなかったのか」「実家にいたらそれ以上に働いていたのは確実で、当時にしてはそんなに酷い条件だったのか」「働かなければ口減らしに遭った可能性大」など、一切言及されていません。それで「糸を引くのも国のため」もないもんだ…

Nakae_ueki_2 ひとびと探検隊 改革を求めた人々 坂本龍馬と横井小楠

お、小楠とはなかなかいいところを…と思っていたらちゃあんと中江兆民どころか精神を病んでいたと(家永氏にまで)言われた植木枝盛まで出てくるあたりはいかにもいかにも、ですね。

もうやだ。でもまだ戦前・戦中の日本はこれから、なにが出てくるやら…

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2009年8月 2日 (日)

教育出版「中学社会歴史」批判その6(近世)

毎週末に連載するつもりなのですが1週間飛ばしてしまいました。まあ夏休み(笑)。今回は一揆、じゃない一気に近世、安土桃山から江戸後期までをかいつまんで見ます。キーワードは「朝鮮侵略」「琉球・アイヌ」「一揆」です。(写真はクリックで拡大、IEで切れるときはPCに保存してから見て下さい)

第4章 近世の日本と世界

1.世界の動きと全国統一

マル1.結びつけられた世界 ヨーロッパ人の大航海
マル2.鉄砲とキリスト教 戦国の動乱とヨーロッパ人の来航
マル3.天下統一をめざして 信長の政治
マル4.天下統一 秀吉の政治
マル5.城と茶の湯

2.江戸幕府の成立と鎖国

マル1.将軍と大名 江戸幕府の成立と幕藩体制
マル2.東南アジアの日本町 キリスト教・海外渡航の禁止
マル3.身分ごとに異なる暮らし 身分制度と人々の暮らし
マル4.鎖国の窓 江戸時代の国際関係

3.産業の発達と政治の動揺

マル1.ふえる田畑と都市のにぎわい 産業と交通の発達
マル2.さかんになる町人文化 元禄文化と民衆の暮らし
マル3.直訴する農民 百姓一揆の広まり
マル4.ゆらぐ幕府政治 くりかえされる改革
マル5.蘭学と寺子屋 新しい学問と化政文化

Hideyosi_chousen 天下統一と来れば朝鮮征伐。となれば、はい、みなさんの予想ドンピシャ(笑)、小見出しで「秀吉の外交と朝鮮侵略」、やっぱり「朝鮮侵略」です。

ここのページが異様なのは、なぜか本文に天正大判の写真が重ね合わせてあること。こんなのは本教科書全体でここだけ。写真からOCRで文字起こしされ広まるのを恐れているのでしょうか(笑)

それから、下のコラム「姜コウと藤原惺窩(コウはさんずい+亢、第3水準の漢字です。環境によっては文字化けするのでカナ表記します)」ですが、のんべは姜コウなんて高校でも習ってません。なんだ?と思い「姜コウ 教科書」でググってみたら、教育出版の教科書で取り上げているマイナーな人物、という批判の話、また、その批判にからんで藤岡信勝氏が「山川の日本史広辞典にも載っていない」と批判したのはウソだ、という話ばかりでした。いかにも韓国好みのしそうな人物ですね(笑)

Ryukyu_ainu 2.のマル4は例によってアイヌ沖縄大好きぶりが発揮されています。それはそれで結構、琉球人もアイヌ人も同じ日本人ですから。でも、琉球王国もアイヌも制圧されてから民族意識を強めていったという書きぶりは「植民地支配への抵抗」の暗喩でしょうし、左巻きの教師ならそう説明するでしょう。ちゃあんと毒はちりばめてあるわけだ…

ついでながら、上から2行目、「かんげい」くらい漢字にしてくれ、ルビ振ってもいいから。ここに限らず、簡単な漢字のかな書きが多いのは嫌になります。

Ikki 3.のマル3、直訴する農民、ですか。搾取される農民は一揆で戦う、という構図、マルクス史観そのものです。下の発生件数の図、どうせ史料の著者「青木虹二」はマルクス史観学者だろう…いつものようにググると、戦後最大の一揆男なる評価もあり(笑)、それまでの定説から件数をグンと増やしたらしい。これでも多いときで年間100件。どこぞの紅い国では、現代ですら年間何万件も一揆が起こるのに…

新しい歴史教科書では、「百姓は年貢を納めることを当然の公的な義務と心得ていたが、不当に重い年貢を課せられた場合などには、百姓一揆をおこしてその非を訴えた。幕府や大名は、訴えに応じることもしばしばあった」という記述。現代でも、「搾取される我々労働者階級(笑)」は、ストライキで戦う…のではなく、ぶつぶついいながらも真面目に納税します。不平等な課税基準や税金の無駄遣いには怒るけど、納税は義務という意識は当たり前です。それは日本の伝統でしょう。一揆史観では絶対にそういう記述はされません。

次回から近代。あまり見たくないですけど…

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2009年7月17日 (金)

教育出版「中学社会歴史」批判その5(中世・後半)

今回は中世の後半。相変わらず酷い記述が散見されます。偏向だけじゃありません。

2.ゆれる武家政治

マル1.南北朝の争乱と室町幕府 室町幕府の成立

マル2.海賊船と貿易船 発展する東アジア

マル3.団結する村 村の自治、町の自治

マル4.下克上の世 土一揆と応仁の乱

マル5,中世文化の広がり 禅宗と東山文化

ひとびと探検隊 中世に生きた人々

学習のまとめ 第3章 中世の日本と世界

Kibamusha_zou まず南北朝の争乱で「騎馬武者像」(重要文化財)が「南北朝争乱のころの武士の像」として載っています。この武者は足利尊氏のはず?と思って調べたら、どうも最近の研究ではそうとも言えないらしいでも、紹介で「武士の像」はあまりに手抜きだろう…

次の海賊船と貿易船はすさまじい。

まず倭寇。この教科書では、「明は…沿岸をおそう倭寇に苦しみました…室町幕府に倭寇の取りしまりを求めました」「朝鮮は倭寇を取りしまる…」だけです。記述の手抜きもいいところ。

歴史的事実として、勘合貿易前は「前期倭寇」、後は「後期倭寇」とされます。

前期倭寇は日本人が中心の武装商人というべきで、明が「海禁政策」を取り私貿易を取り締まり、つまり役人が賄賂を取りまくったわけで、やむなく武装商人が戦った、と解釈すべきでしょう。シナにも協力者がたくさんいたから倭寇が活躍できたのです。また、後期倭寇はシナ人が中心。ちっとも「倭」じゃない。

Hanguru アイヌ側の史観も大好き。「北海道南部に入り込んできた和人によって圧迫」(欄外に、アイヌの人たちが和人と呼んだことを記載)ですからねえ…

驚愕なのは欄外のコラム「ハングルの文字」。この教科書、内容が薄いから他にいくらも紹介すべきことがあるのに、歴史の教科書として明らかに余計な記述(怒)

「団結する村」「下克上の世」。一揆史観。どうもマルクスっぽいのが好きなようですねえ…

内容の薄さは文化史も。「中世文化の広がり 禅宗と東山文化」では、「禅宗の僧が中国朝鮮に派遣」「禅僧が中国からもたらした…水墨画」など、東山文化はシナ朝鮮の影響を強く受けている、とでも言いたげ。影響を受けているのは確かだけど、それを換骨奪胎して元の姿をとどめないほど和風の極みにしたのが東山文化ではなかったでしたっけ。

この表題を見れば、北山文化はどこに行った?と思いますよね。小項目「民衆に広がる文化」で、「義満の頃、世阿弥らが能として完成…」とあるだけ。え?と思い教科書を見直すと、金閣の写真は、文化史のところではなく、室町幕府の成立のところで、世界遺産の写真として載っており、その小さな解説は「義満は京都の北山に山荘を建てました。そのなかの金閣は、寝殿造、武家風のつくり、禅宗寺院の様式というように、各層が別々のつくり方となっています。義満は室町幕府の全盛期を築きました」。金閣は義満の栄華の象徴という趣旨でしょうし、それはそうでしょう。

でも、これでは武家的でありながら公家風の北山文化に対し、侘びの東山文化の比較もできません。こんな項目立て、ないだろう…

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2009年7月12日 (日)

教育出版「中学社会歴史」批判その4(中世・前半)

今回は中世の前半。元寇の記述が楽しみです。

第3章 中世の日本と世界

1.武家政治のはじまり

マル1.武装する豪族たち 武士の活躍

マル2.いざ鎌倉 鎌倉幕府の政治

マル3.武士と民衆の暮らし 民衆に広がる仏教

マル4.おしよせる元軍 モンゴル帝国とアジア

調べてみよう 寺院・自社を訪ねて~円覚寺(鎌倉市)

偏向とかなんとか以前の問題として、内容が薄く歴史の流れがつかみにくい教科書だなあ、という感想があります。源平合戦も薄い。「いざ鎌倉」と表題にあっても、それが何のことかわかりません。「新しい土地をもらうこと(御恩)を期待し、そのかわり将軍のためには命がけで戦いました(奉公)」これだけで「いざ鎌倉」はないだろう、鉢の木物語をコラムにでも書いてほしいですよねえ…

Genkou さて期待?の元寇は、やっぱり期待を裏切りません(怒)

モンゴル帝国「(一部略)モンゴルはユーラシア大陸全域におよぶ大帝国をつくりました。東アジアでは(一部略)国号を元とし、宋をほろぼして中国全土を支配しました、元は朝鮮半島にも侵入しました。そこでは、10世紀初めに建国された高麗(コリョ・こうらい)が激しく抵抗し、30年以上戦いがつづきましたが、ついには元に服従させられました。」

(欄外注マル2)高麗…3年にわたって反乱…元の日本遠征はおくれました。

元軍との戦い「さらに勢力をの拡大をはかる元は、1274年、服従しようとしない日本に遠征軍を派遣しました。元と高麗の連合軍は、対馬・壱岐をおそい、さらに九州沿岸に上陸し、火器を武器とする元軍と、九州の御家人を中心とする幕府軍との間では、はげしい戦いがおこなわれました。元軍が引きあげたのち、幕府は再度の攻撃に備えるため、九州の御家人に命じて博多湾に防塁を築かせ護りを固めました。1281年、元は再び遠征を決行しましたが、上陸できないうちに暴風雨による損害を受けて退却しました。この2回の元軍の襲来を元寇といいます。」

まず前半。「宋をほろぼして中国全土を支配」って間違っちゃいないけど、この文章から、宋が現代の「中華人民共和国」の領土+植民地(チベット、ウイグル、南モンゴル等)を統治していたような錯覚を起こさせます。

また、高麗が抵抗しようがどうしようが、日本史に関係ない。でも、欄外にさりげなく、高麗の抵抗のお陰で日本が助かった、ような文章がありますね。また、元に服従させられた、って、なぜか高麗を主語にした文章です(笑)。

いよいよ後半。「服従しようとしない日本に遠征軍を派遣」って、どこの国の史観ですか、日本史の教科書の記述とは思えません。前半で朝鮮には「侵入」としているのと対比が面白い(笑)。なお、写真の次のページの欄外に「元はその後も侵攻を計画しましたが…」と小さく書いてアリバイ作りしています。

もちろん、高麗の軍が壱岐対馬でどれだけ酷いことをしたか、は華麗にスルーです(苦笑)

あと、元寇とひとくくりにしないで。文永の役、弘安の役くらいは一言書くべきだし、だいいち文永の役で神風が吹いたことすら載ってないって…

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2009年7月 6日 (月)

教育出版「中学社会歴史」批判その3(古代その3)

今日で古代は終わりです。この教科書、読むのがつらいですね。子供を洗脳するならもっと洗練したものを作ればいいのに、これでは我慢大会で逆効果ではないかな(苦笑)

第2章
3.古代国家の発展

マル1.栄える奈良の都(平城京と貴族の繁栄)

マル2.農民の暮らしと開墾(苦しむ農民と社会の変化)

マル3.貴族の政治(平安京の繁栄)

マル4.日本文化の誕生(大陸風文化から国風文化へ)

ひとびと探検隊 古代に生きた人々
「都で暮らす人々、地方で戦う人々~長屋王と阿弖流為・田村麻呂」

ワールド・チャレンジャー 世界の古代遺跡のなぞ

学習のまとめ 第2章 原始・古代の日本と世界

3.古代国家の発展は、あまり面白くないし、内容が薄すぎてあまりコメントする気にもならないけど、少し見てみましょう。

マル2では、農民がいかに税金で苦しんでいたか、というのが強調されすぎているのが気になります。

マル3には「朝廷と国司」という項目があり、「地方の政治は国司にまかされ…国司の中には農民から租税をしぼり取り、自分の収入を増やす者もあらわれました」という表記があります。「しぼり取」るという表現には、悪意が感じられます。

また、国司がいつから地方政治を仕切るようになったのか、誤解を生みそうです。その前の項目に「桓武天皇は国司の不正を取り締まって地方の政治を引き締めました」とありますが、それ以前には記述がなく、国司が律令の役人であることがわかりません。

マル4も内容が薄い。この薄さでは議論以前です。

次の「ひとびと探検隊」も、なんだかなあ。

前半は「長屋王の暮らし」。大きな権力を持って、「現代人もうらやむような生活を楽しんでいた」、そこまではいい、「長屋王の暮らし」でしょう。ところが、その後に、729年に攻められて自害。妻子も自害。藤原四兄弟が力を伸ばしたが天然痘で死去、長屋王ののろいでは、とうわさになった。この記述、「長屋王の暮らし」でしょうか…

後半は「阿弖流為(アテルイ)の抵抗」。阿弖流為は、最近の教科書では人気の人物です。「蝦夷は自らの土地と名誉を守るため、阿弖流為らをリーダーに団結…」という蝦夷側の史観を、このようなコラムで紹介するのは一つの見識と思います。

ワールドチャレンジャーはようわかりません。ギザピラミッド、ストーンヘンジ、キトラ古墳、ナスカ地上絵、マチュピチュ(インカ)が取り上げられています。世界史に興味をもとう、というページでしょうか。あんまり関係ないような…

Kodai_matome 学習のまとめ(左の写真、クリックで拡大)には、さりげなく「身分差のない社会→貧富・身分の差が生まれる→…」とマルクスっぽいことが書いてありました。アジア、世界もすごい切り方。世界はすべてイスラムらしい…?!まあ、どうせこのページは誰も読まないでしょうけど(笑)

ここまでで古代は終わり。原始から平安時代までの登場人物(本文は大字、欄外(系図除く)は小字)に出てきた人物は、孔子、始皇帝、シャカ、卑弥呼、蘇我氏(名前は出ない)、推古天皇、聖徳太子、小野妹子、天智天皇、藤原鎌足、天武天皇、持統天皇、マホメット、阿倍仲麻呂、鑑真、山上憶良、桓武天皇、坂上田村麻呂、藤原氏、道長、頼通、最澄、空海、聖武天皇、紀貫之、紫式部、清少納言、それに上記の長屋王、藤原四兄弟、阿弖流為。

内容の薄さは、この登場人物の少なさからも想像していただけるのでは、と思います。最低でも、物部氏、馬子、蝦夷、入鹿、隋の煬帝、人麻呂、家持、道真、くらいは登場させそうなもの、と思いませんか。

その点、自由社の新しい歴史教科書は内容が倍くらい濃い。たとえばコラムの日本神話の紹介で、イザナギイザナミさまから神武東征まで載っています。

次回は中世。遅々として進みませんが、まあのんびり連載します。

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2009年6月28日 (日)

教育出版「中学社会歴史」批判その2(古代その2)

まだしばらく突っ込みどころ満載の古代を続けます。

第2章の2.古代国家の成立

マル1.戦うむら(くにと王の誕生)

マル2.巨大な古墳(大和政権の発展)

マル3.整う古代国家(律令国家への歩み)

マル4.東アジアの交流(隋・唐と東アジア)

Tatakau_mura まず驚かされるのは、「戦うむら」というおどろおどろしい表題。そのわりには絵はのんびりと稲を刈る光景なんですけど(笑)。絵に似合う表題は、例えば「稲作と弥生文化」ですね。

「世界を愛した日本」でも取り上げられている部分です。いわゆる「原始共産制」社会の後に人民から搾取を目論んで「支配者」階級が現れ、闘争が始まるというマルクス史観そのものの記述です。そんなのは単なるイデオロギー、実証的には否定されているのに。

マル2.「巨大な古墳」では、まず「大山古墳」というのが出てきてなんだろう?と思ったら仁徳天皇陵。「伝仁徳陵古墳」とも書いてあります。これでは世界一大きく有名な陵が天皇陵とされていることがわかりません。よほど「天皇」と書きたくないらしい。当時は天皇とは呼ばれていなかったから?ふーん。後世の人が「天皇」と呼ぶのは、きっと巨大な問題があるのでしょう(笑)

また、私らのころからあった表現ですが、「渡来人」は変です。わざわざ渡来して、未開な日本に進んだ文化を伝えた使命感溢れる人たち、という雰囲気にしたい表現。なんで半島に帰らなかったのか。正義感でなく、単に日本が住みやすく、半島が住みにくかったからに決まってます。日本の立場では、帰化人と書くべきです。もちろん彼らも我々の大切なご先祖様です。

渡来人は仏教・儒教などの思想を伝えました、とあるけど、内容が不十分。仏教伝来は538年くらい書いてよ…ほっとけゴミやさん、です(笑)。また、高句麗好太王の碑文にある、大和朝廷が百済を助けて高句麗と戦い破ったことは、当然のごとくスルー。半島の史観そのものです。

マル3.「整う古代国家」では、全体的に記述が薄すぎます。白村江の戦いで敗れたことも載っていないのは愛国心なんでしょうか(笑)。「新しい歴史教科書」では十七条憲法(要旨)を全部載せるなど、聖徳太子関係だけで4ページ。白村江の戦いで敗れ、百済から亡命者が来たことも詳しく述べています。こんなに教科書で記述が違ったらどうやって高校入試するのでしょうか…

マル4.「東アジアの交流」。まあ、白村江も載っていないのにコメントすることもありません。新羅からは「すすんだ文化」が来ているらしい、有り難いことで(笑)

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