日本国憲法を読んでみよう(その13.国会)
父「久しぶりだね。この連載があったことも忘れられていそうだ。今回は国会、制度論なので一気に読んでしまおう」
(なお、条文は続きに記載します)
第四十一条【国会の地位、立法権】唯一の立法機関
第四十二条【両院制】衆院と参院
第四十三条【両議院の組織】国民の代表
第四十四条【議員及び選挙人の資格】普通選挙
第四十五条【衆議院議員の任期】任期4年解散有
第四十六条【参議院議員の任期】任期6年、3年ごとに半数選挙
第四十七条【選挙に関する事項の法定】公選法
第四十八条【両議院議員兼職禁止】
第四十九条【議員の歳費】国会法
第五十条【議員の不逮捕特権】会期中の不逮捕特権
第五十一条【議員の発言・票決の無責任】院内の行動は院外では無責任
第五十二条【常会】年一回の常会
第五十三条【臨時会】内閣が臨時会の招集。総議員1/4以上の要求でも。
第五十四条【衆議院の解散、特別会、参議院の緊急集会】
1衆院解散後40日以内の総選挙、選挙日30日以内の国会召集
2衆院解散時、参院閉会。緊急時は内閣が参院の緊急集会を要求。
3緊急集会の措置は衆院の事後承諾が必要。
第五十五条【議員の資格争訟】議院は議員の資格に関する争訟を裁判
第五十六条【定足数・票決】1/3が定足数。過半数で議決。同数なら議長裁定。
第五十七条【会議の公開、秘密会】
1.議会は原則公開。秘密会も可。議事は原則公開
第五十八条【役員の選任、議院規則、懲罰】議長など選任。
両議院は院内秩序を乱した議員の懲罰可。議員除名には出席議員の2/3。
第五十九条【法律案の議決、衆議院の優越】
法案は両議院の可決で法律
衆院可決、参院否決、衆院で2/3多数で再可決で法律
参院が、衆院可決後60日以内に議決しないときは否決とみなす
第六十条【衆議院の予算先議と優越】
第六十一条【条約の国会承認と衆議院の優越】
予算と条約は事実上衆院の決定のみ
第六十二条【議院の国政調査権】
第六十三条【国務大臣の議院出席】
第六十四条【弾劾裁判所】国会で裁判官を裁判
父『まず、国会は国民の代表、と明記されている。当たり前のことだ』
子『日本に住んでいる外国人の立場はどうなるの』
父『外国人の代表を日本の国会には送り込めないよ。外国人はいつでも自分に国に帰ればいいんだから。だから、国会議員の選挙権や被選挙権を外国人に与えるのはこの条文にも違反している。ついでながら、地方参政権ですら違憲なのはすでに勉強した通りだ』
子『衆議院の圧倒的な優越が明記されているけど、参議院の存在価値はなんなの』
父『衆議院は、解散があるうえに4年しか任期がない。従って民意を反映しやすいので、優越とされるんだ。参議院は、任期が6年間確定。だから、選挙を気にせず大所高所にたった判断を期待されているんだ。そういう立場の差を踏まえて国会議員の職責を全うすべきなんだけど、今はそんな考えの議員がいるようには見えない。衆院と参院の意思が異なれば混乱するだけ。参議院は、衆議院解散中の緊急集会のように衆議院のバックアップという意味を除けば、無用の長物だろう』
子『不逮捕特権ってなあに?議員は泥棒してもいいの?』
父『議員を逮捕していいとなればどうなる?政府がでっち上げて警察に野党議員を逮捕させて、その間に法律をどんどん通すことだってできるだろ。そういうことを防ぐために不逮捕特権があるんだ。もちろん、たとえば本当に泥棒したのなら、そんな奴は議員の資格なんかないね。そういう場合は当然各議院が逮捕を認めることになるよ』
子『院外で無責任というのはなに?』
父『政府に都合の悪い発言した議員を、議会の外で政府が議員資格を剥奪することなんかできませんよ、ということなのかな。この2条は、政府が議会を形骸化することはできないよ、ということを明記したのだとお父さんは思う。
もちろん、好き勝手を言っていいというわけでなく、無茶苦茶を言えば議会内では責任を取らされるか、批判されて次の選挙で落選するだけのことだ』
子『衆院解散後に40日以内の総選挙ってのんびりしているわね』
父『今回の総選挙ではその規定に沿った形で選挙が行われたけど、その間は事実上立法府がなくなるのだから、長すぎると思うよ』
子『選挙の方法はどうなの?小選挙区と比例代表ってわけわかんないのだけど』
父『それは憲法は法律、つまり公選法におまかせしているので憲法論議ではないね。お父さんは、小選挙区は死票が多くなりすぎるから、比例代表だけにしてしまうほうがすっきりすると思うよ』
子『それにしても条文がたくさんある割に書いてあることは少ないね』
父『そういうなよ。憲法は、政府の好き勝手を許さないためのもの、という大前提なんだからこんなもんだよ。
次は内閣だ。これも一回ですまそう』
(続きに条文を記載しました)
最近のコメント