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2009年10月31日 (土)

教育出版「中学社会歴史」批判その10(戦後)

なかなか進みません。そりゃあ民主政権ではやる気にならんわなあ…まあ、気を取り直して、この連載はあと2回、そして憲法の勉強もなんとか頑張ります。

第7章 現代の日本と世界

1.第二次世界大戦後の日本と世界

マル1.大日本帝国から日本国へ 連合国軍の日本占領と民主化

マル2.新しい社会への出発 戦後の諸改革

マル3.火をふく38度線 冷戦と占領政策の転換

マル4.講和条約と安保条約 独立と国際社会への復帰

Gendai_nenpyou 本文に入る前に、第7章の扱う時代の年表がこれです。なぜか「中華民国」が途中で切れてます!!

中華人民共和国と中華民国が国連で入れ替わったタイミングのつもり?それなら中華人民共和国はそこまで「中国共産党政府」くらいの表現にすべきで、矛盾しています。ひでえもんだ。

マル1.大日本帝国から日本国へ

小見出し「占領下の民主化」

『GHQは、日本政府に指令を出して、軍国主義を取り除き、民主主義を推し進める政策を実行しました。まず軍隊を解散し、戦争の責任者を極東国際軍事裁判にかけて処罰しました』

『民主主義をおしすすめた』のはウソと思いますが、まあこういう表現になるんでしょうね。極東国際軍事裁判(東京裁判)は事後法による裁きという裁判の名に値しない単なる復讐劇ですが、そういう面には絶対触れられません。

『天皇は、自分が神の子孫であることを否定する「人間宣言」を出しました』

これは明白な間違い。「人間宣言」と呼ばれるのはこの部分。
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朕ト爾(なんぢ)等国民トノ間ノ紐帯(ちゅうたい)ハ、終始相互ノ信頼ト敬愛トニ依リテ結バレ、単ナル神話ト伝説トニ依リテ生ゼルモノニ非ズ。天皇ヲ以テ現御神(あきつみかみ)トシ、且(かつ)日本国民ヲ以テ他ノ民族ニ優越セル民族ニシテ、延テ世界ヲ支配スベキ運命ヲ有ストノ架空ナル観念ニ基クモノニモ非ズ
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現御神であることを否定しただけです。

小見出し「日本国憲法」

『民主化の重要な柱は、憲法の改正でした』

違うでしょ。日本を骨抜きにするための重要な柱の間違いです。だいたい「民主」ほどインチキな言葉はないですね。まあ、それはともかく。

『連合国総司令部は…草案をつくって政府に示し、政府はこれをもとに新しい改正案…』

この通りですが、とんでもない戦時国際法違反です。

第43条 国ノ権力カ事実上占領者ノ手ニ移リタル上ハ、占領者ハ、絶対的ノ支障ナキ限、占領地ノ現行法律ヲ尊重シテ、成ルヘク公共ノ秩序及生活ヲ回復確保スル為施シ得ヘキ一切ノ手段ヲ尽スヘシ。

「事後法」「戦時国際法違反」は歴史の事実として伝えていくべきことなので、教科書に書くべきなのは当然ですが、この教科書に載りません。「新しい歴史教科書」にはコラムとしてある程度載っています。

なお、南樺太・千島をソ連が占領したことの注として『北方四島は、固有の領土(北海道の一部)であり、ロシアにはふくまれません。今もなおロシアの不法占拠のもとにおかれています』とあるのは結構なことです。

マル2.新しい社会への出発

蛇足と言ったら蛇の足が激怒しそうな記述、文末のコラム「戦後の処理~補償問題」。

『サンフランシスコ平和条約および各国との賠償協定によって、日本政府は「国家間の補償問題は完全に解決済み」としています。しかし、戦争時に日本軍の行為で被害を受けた個人に関しては、現在でもアジア諸国から、日本の加害について補償を求める動きがつづいています。』

政府見解でおしまい。「中学歴史教科書」に書くべきことではありません。

マル3.火をふく38度線

『共産党は…1949年、毛沢東を主席とする中華人民共和国を成立させました。いっぽう国民政府は台湾に追われました』(欄外注)『台湾にのがれた国民政府は、大陸の中華人民共和国と対立しました。日本は、1972年に中華人民共和国と国交を正常化し、台湾との国交を断ちました』

先程の年表では「中華民国」とする時期もあったのに、こちらでは「国民政府」と「台湾」ですねえ。「中華民国」は消されてしまいました(怒)

『北朝鮮が武力統一をめざし、ソ連の支援を受けて南下したことをきっかけに朝鮮戦争がはじまりました』

南下、ねえ。これってどうみても「侵攻」なんですけどねえ。なんかの見間違いかな(苦笑)

マル4.講和条約と安保条約

あまりコメントはありませんが、安保改定につき『政府与党が十分な審議をしないまま衆議院で採決を強行』に対して『「議会主義・民主主義を守れ」…その声は全国に広がりました』と反対があがったこと、よく記憶しておきましょう。これから民主党が強行採決するでしょうが、どうせマスコミはなんにもいいませんから(笑)

Hoppou_ryoudo なお、ここで今度はソ連が平和条約の調印を拒絶し、千島列島の帰属が決められなかったこと(南樺太もそうだけど、なぜか抜けている)に関連して、北方領土が我が国固有の領土であることが記述されているのは結構なことです。

次回はいよいよ最終回で現代史。とんでもないのが待ってます(苦笑)

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コメント

日ノ本は戦前から民主主義国家ですが(笑)
アレですね、何故か左巻き諸氏は民主主義の対義語として「軍国主義」をおく傾向がありますねえ(怒)。

それと、新憲法を利用した米国による日本の「骨抜き化」は、CIAの工作員の様な存在であつた吉田茂によつて行はれたわけですが、そろそろ日本人は戦後史の真相を知るべきだと思ひます。

投稿: 葦原屋 | 2009年11月 1日 (日) 19時37分

葦原屋さん

>日ノ本は戦前から民主主義国家
大正デモクラシーの後、昭和一桁時代以降は軍国主義一色の真っ暗な社会…ということにされていますね。プロパガンダに教科書まで加担しているのだから困ったもんです。

>そろそろ日本人は戦後史の真相を知るべき
はい。いつまで戦後に安住するつもりなんですかね。

投稿: 練馬のんべ | 2009年11月 1日 (日) 19時48分

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