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2009年9月12日 (土)

日本国憲法を読んでみよう(その13.国会)

父「久しぶりだね。この連載があったことも忘れられていそうだ。今回は国会、制度論なので一気に読んでしまおう」

(なお、条文は続きに記載します)

第四十一条【国会の地位、立法権】唯一の立法機関
第四十二条【両院制】衆院と参院
第四十三条【両議院の組織】国民の代表
第四十四条【議員及び選挙人の資格】普通選挙
第四十五条【衆議院議員の任期】任期4年解散有
第四十六条【参議院議員の任期】任期6年、3年ごとに半数選挙
第四十七条【選挙に関する事項の法定】公選法
第四十八条【両議院議員兼職禁止】
第四十九条【議員の歳費】国会法
第五十条【議員の不逮捕特権】会期中の不逮捕特権
第五十一条【議員の発言・票決の無責任】院内の行動は院外では無責任
第五十二条【常会】年一回の常会
第五十三条【臨時会】内閣が臨時会の招集。総議員1/4以上の要求でも。
第五十四条【衆議院の解散、特別会、参議院の緊急集会】
1衆院解散後40日以内の総選挙、選挙日30日以内の国会召集
2衆院解散時、参院閉会。緊急時は内閣が参院の緊急集会を要求。
3緊急集会の措置は衆院の事後承諾が必要。
第五十五条【議員の資格争訟】議院は議員の資格に関する争訟を裁判
第五十六条【定足数・票決】1/3が定足数。過半数で議決。同数なら議長裁定。
第五十七条【会議の公開、秘密会】
1.議会は原則公開。秘密会も可。議事は原則公開
第五十八条【役員の選任、議院規則、懲罰】議長など選任。
両議院は院内秩序を乱した議員の懲罰可。議員除名には出席議員の2/3。
第五十九条【法律案の議決、衆議院の優越】
法案は両議院の可決で法律
衆院可決、参院否決、衆院で2/3多数で再可決で法律
参院が、衆院可決後60日以内に議決しないときは否決とみなす
第六十条【衆議院の予算先議と優越】
第六十一条【条約の国会承認と衆議院の優越】
予算と条約は事実上衆院の決定のみ
第六十二条【議院の国政調査権】
第六十三条【国務大臣の議院出席】
第六十四条【弾劾裁判所】国会で裁判官を裁判

父『まず、国会は国民の代表、と明記されている。当たり前のことだ』

子『日本に住んでいる外国人の立場はどうなるの』

父『外国人の代表を日本の国会には送り込めないよ。外国人はいつでも自分に国に帰ればいいんだから。だから、国会議員の選挙権や被選挙権を外国人に与えるのはこの条文にも違反している。ついでながら、地方参政権ですら違憲なのはすでに勉強した通りだ』

子『衆議院の圧倒的な優越が明記されているけど、参議院の存在価値はなんなの』

父『衆議院は、解散があるうえに4年しか任期がない。従って民意を反映しやすいので、優越とされるんだ。参議院は、任期が6年間確定。だから、選挙を気にせず大所高所にたった判断を期待されているんだ。そういう立場の差を踏まえて国会議員の職責を全うすべきなんだけど、今はそんな考えの議員がいるようには見えない。衆院と参院の意思が異なれば混乱するだけ。参議院は、衆議院解散中の緊急集会のように衆議院のバックアップという意味を除けば、無用の長物だろう』

子『不逮捕特権ってなあに?議員は泥棒してもいいの?』

父『議員を逮捕していいとなればどうなる?政府がでっち上げて警察に野党議員を逮捕させて、その間に法律をどんどん通すことだってできるだろ。そういうことを防ぐために不逮捕特権があるんだ。もちろん、たとえば本当に泥棒したのなら、そんな奴は議員の資格なんかないね。そういう場合は当然各議院が逮捕を認めることになるよ』

子『院外で無責任というのはなに?』

父『政府に都合の悪い発言した議員を、議会の外で政府が議員資格を剥奪することなんかできませんよ、ということなのかな。この2条は、政府が議会を形骸化することはできないよ、ということを明記したのだとお父さんは思う。

もちろん、好き勝手を言っていいというわけでなく、無茶苦茶を言えば議会内では責任を取らされるか、批判されて次の選挙で落選するだけのことだ』

子『衆院解散後に40日以内の総選挙ってのんびりしているわね』

父『今回の総選挙ではその規定に沿った形で選挙が行われたけど、その間は事実上立法府がなくなるのだから、長すぎると思うよ』

子『選挙の方法はどうなの?小選挙区と比例代表ってわけわかんないのだけど』

父『それは憲法は法律、つまり公選法におまかせしているので憲法論議ではないね。お父さんは、小選挙区は死票が多くなりすぎるから、比例代表だけにしてしまうほうがすっきりすると思うよ』

子『それにしても条文がたくさんある割に書いてあることは少ないね』

父『そういうなよ。憲法は、政府の好き勝手を許さないためのもの、という大前提なんだからこんなもんだよ。

次は内閣だ。これも一回ですまそう』

(続きに条文を記載しました)

第四章 国会
第四十一条【国会の地位、立法権】
 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

第四十二条【両院制】
 国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

第四十三条【両議院の組織】

 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

 両議院の議員の定数は、法律(公職選挙法第四条)でこれを定める。
第四十四条【議員及び選挙人の資格】
 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律(公職選挙法第二章)でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。

第四十五条【衆議院議員の任期】
 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。

第四十六条【参議院議員の任期】
 参議院議員の任期は、六年とし、三年ごとに、議員の半数を改選する。

第四十七条【選挙に関する事項の法定】
 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律(公職選挙法)でこれを定める。

第四十八条【両議院議員兼職禁止】
 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

第四十九条【議員の歳費】
 両議院の議員は、法律(国会法第三十五条)の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。

第五十条【議員の不逮捕特権】
 両議院の議員は、法律(国会法第三十三条)の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

第五十一条【議員の発言・票決の無責任】
 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

第五十二条【常会】
 国会の常会は、毎年一回これを召集する。

第五十三条【臨時会】
 内閣は、国会の臨時会の召集を決定することができる。いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない。

第五十四条【衆議院の解散、特別会、参議院の緊急集会】

 衆議院が解散されたときは、解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、その選挙の日から三十日以内に、国会を召集しなければならない。

 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。

 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

第五十五条【議員の資格争訟】
 両議院は各〃その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

第五十六条【定足数・票決】

 両議院は、各〃その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。

 両議員の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

第五十七条【会議の公開、秘密会】

 両議院の会議は、公開とする。但し、出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、秘密会を開くことができる。

 両議院は、各〃その会議の記録を保存し、秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。

 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、これを会議録に記載しなければならない。

第五十八条【役員の選任、議院規則、懲罰】

 両議院は、各〃その議長その他の役員を選任する。

 両議院は、各〃その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。

第五十九条【法律案の議決、衆議院の優越】

 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。

 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。

 前項の規定は、法律の定めるところにより、衆議院が、両議院の協議会を開くことを妨げない。

 参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて六十日以内に、議決しないときは、衆議院は、参議院がその法律案を否決したものとみなすことができる。

第六十条【衆議院の予算先議と優越】

 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。

 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、法律(国会法第八十五条)の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が衆議院の可決した予算を受け取つた後、国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

第六十一条【条約の国会承認と衆議院の優越】
 条約の締結に必要な国会の承認については、前条第二項の規定を準用する。

第六十二条【議院の国政調査権】
 両議院は、各〃国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

第六十三条【国務大臣の議院出席】
 内閣総理大臣その他の国務大臣は、両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、答弁又は説明のため出席を求められたときは、出席しなければならない。

第六十四条【弾劾裁判所】

 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

 弾劾に関する事項は、法律(国会法第十六章)でこれを定める。

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コメント

私はむしろ小選挙区に統一してほしいですね。
政党は両党とも内部でごちゃごちゃなので、選べません。だから個人を選べるように、すべて小選挙区にしてほしいです。

投稿: haru | 2009年9月13日 (日) 10時42分

haruさま
お気持ちはわかります。
ただ、小選挙区だけだと、たとえば自分の選挙区が加藤紘一と社民党と共産党しか出ていない選挙区なら、投票する人がいなくなります。私の選挙区でも自民がパチンコ利権の菅原一秀なので投票したくありませんでした。
いっそ、小さな国なんだから、昔の参議院方式の個人を選ぶ全国区でもいいかも…

投稿: 練馬のんべ | 2009年9月13日 (日) 13時51分

私は比例にも小選挙区制にも反対です。
比例だと出馬する議員を党だけで決めますので、民意を
反映するとは言い難いです。例えば、自民の比例名簿
1位2位3位がエロ拓、下等紅一、枯蛾とかだったら
目も当てられません。
かといって、死票ばかり増大する小選挙区制も反対。

私が唱えているのは、財務、交通、外交、農業、教育など
現存する省庁を参考にしてジャンル分けし、それに対して
専門的に業務を担当する議員を立候補させる方法。
いろいろ欠点も多い方法ではありますが、教育問題に明るい人が
財務をやらされるというような不条理がなくなりますし、
何より自ら望んで就く地位ですからヤル気も増すと思われます。

投稿: ハーグ竹島 | 2009年9月13日 (日) 19時34分

ハーグ竹島さん

>財務、交通、外交、農業、教育…ジャンル分けし、…
>専門的に業務を担当する議員を立候補させる方法。
なるほど。大いに理のある方法ですね。

それにしても、選挙制度って、今の選挙制度が悪いことだけはよくわかるけど、それよりましな方法ってなかなか難しいものですねえ。いっそ、中選挙区に戻せ、というのもわからんではないなあ…

投稿: 練馬のんべ | 2009年9月13日 (日) 22時14分

この記事へのコメントは終了しました。

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