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2009年8月 2日 (日)

教育出版「中学社会歴史」批判その6(近世)

毎週末に連載するつもりなのですが1週間飛ばしてしまいました。まあ夏休み(笑)。今回は一揆、じゃない一気に近世、安土桃山から江戸後期までをかいつまんで見ます。キーワードは「朝鮮侵略」「琉球・アイヌ」「一揆」です。(写真はクリックで拡大、IEで切れるときはPCに保存してから見て下さい)

第4章 近世の日本と世界

1.世界の動きと全国統一

マル1.結びつけられた世界 ヨーロッパ人の大航海
マル2.鉄砲とキリスト教 戦国の動乱とヨーロッパ人の来航
マル3.天下統一をめざして 信長の政治
マル4.天下統一 秀吉の政治
マル5.城と茶の湯

2.江戸幕府の成立と鎖国

マル1.将軍と大名 江戸幕府の成立と幕藩体制
マル2.東南アジアの日本町 キリスト教・海外渡航の禁止
マル3.身分ごとに異なる暮らし 身分制度と人々の暮らし
マル4.鎖国の窓 江戸時代の国際関係

3.産業の発達と政治の動揺

マル1.ふえる田畑と都市のにぎわい 産業と交通の発達
マル2.さかんになる町人文化 元禄文化と民衆の暮らし
マル3.直訴する農民 百姓一揆の広まり
マル4.ゆらぐ幕府政治 くりかえされる改革
マル5.蘭学と寺子屋 新しい学問と化政文化

Hideyosi_chousen 天下統一と来れば朝鮮征伐。となれば、はい、みなさんの予想ドンピシャ(笑)、小見出しで「秀吉の外交と朝鮮侵略」、やっぱり「朝鮮侵略」です。

ここのページが異様なのは、なぜか本文に天正大判の写真が重ね合わせてあること。こんなのは本教科書全体でここだけ。写真からOCRで文字起こしされ広まるのを恐れているのでしょうか(笑)

それから、下のコラム「姜コウと藤原惺窩(コウはさんずい+亢、第3水準の漢字です。環境によっては文字化けするのでカナ表記します)」ですが、のんべは姜コウなんて高校でも習ってません。なんだ?と思い「姜コウ 教科書」でググってみたら、教育出版の教科書で取り上げているマイナーな人物、という批判の話、また、その批判にからんで藤岡信勝氏が「山川の日本史広辞典にも載っていない」と批判したのはウソだ、という話ばかりでした。いかにも韓国好みのしそうな人物ですね(笑)

Ryukyu_ainu 2.のマル4は例によってアイヌ沖縄大好きぶりが発揮されています。それはそれで結構、琉球人もアイヌ人も同じ日本人ですから。でも、琉球王国もアイヌも制圧されてから民族意識を強めていったという書きぶりは「植民地支配への抵抗」の暗喩でしょうし、左巻きの教師ならそう説明するでしょう。ちゃあんと毒はちりばめてあるわけだ…

ついでながら、上から2行目、「かんげい」くらい漢字にしてくれ、ルビ振ってもいいから。ここに限らず、簡単な漢字のかな書きが多いのは嫌になります。

Ikki 3.のマル3、直訴する農民、ですか。搾取される農民は一揆で戦う、という構図、マルクス史観そのものです。下の発生件数の図、どうせ史料の著者「青木虹二」はマルクス史観学者だろう…いつものようにググると、戦後最大の一揆男なる評価もあり(笑)、それまでの定説から件数をグンと増やしたらしい。これでも多いときで年間100件。どこぞの紅い国では、現代ですら年間何万件も一揆が起こるのに…

新しい歴史教科書では、「百姓は年貢を納めることを当然の公的な義務と心得ていたが、不当に重い年貢を課せられた場合などには、百姓一揆をおこしてその非を訴えた。幕府や大名は、訴えに応じることもしばしばあった」という記述。現代でも、「搾取される我々労働者階級(笑)」は、ストライキで戦う…のではなく、ぶつぶついいながらも真面目に納税します。不平等な課税基準や税金の無駄遣いには怒るけど、納税は義務という意識は当たり前です。それは日本の伝統でしょう。一揆史観では絶対にそういう記述はされません。

次回から近代。あまり見たくないですけど…

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コメント

全部現代的価値観で歴史を断ずる悪書ですね。

この悪書、元寇の項では、元軍(若しくは新羅・高句麗軍)による「遠征・襲来」でしたよね。そして対馬虐殺は華麗にスルーでしたよね。
日本が行けば「侵略」。朝鮮なら「遠征」。これこそ書き手がマジで日本人ではないこと、学生運動崩れの腐れ元左翼であることの証左ですね(ああ面白い。自爆してる)。

子供が本当に可哀想です。


ところで「一揆」ですが、恐らく現代の日本人は筵旗と竹槍で弱者の抵抗であつたかのやうな印象を受けますが、これこそ大嘘です。
合戦後多量の槍・刀・鉄砲を「略奪」し隠蔽、若しくは足軽であつた農民が主導し、そしてそれを纏める領主(小大名クラスの土豪)が自分の利益のために支援した重武装戦闘集団&ゲリラのテロ活動が一揆です。これには信長も、景勝も、政宗などの戦上手であつても苦戦を強いられて居ますね(その戦闘力が一揆の武装が竹槍だけではないことの証左)。
それをさも一揆=弱者と断ずるとは、さすが革命のためなら武装蜂起も辞さずつて塩梅でせうか。

一揆により田畑を荒らされ迷惑したのは実は百姓(本来百姓とは武士以外の職業と言ふ意味)です。この事実を知る教師は意外と少ないかもしれません。

投稿: 葦原屋 | 2009年8月 2日 (日) 11時51分

葦原屋さん
そう、シナ朝鮮の日本侵略は「きれいな侵略」らしい。日本史の学者はこんな奴らの巣窟なのかも。連載最終回では執筆者全員の名前は晒してやるつもりです。

>ところで「一揆」ですが
戦国時代の一向一揆や国一揆はまさにその通り、要するに「大名」と名乗らない武装ゲリラ集団。天草四郎の乱もその手のものですね。
(以下、のんべの浅い知識による推測)江戸時代の百姓一揆はそこまでではなく、本当に過激なものはごく少数だったのでしょう。戦後になって青木虹二氏がぐんと数を増やしたのは、戦前までは一揆にすらカウントされなかったごく平和な抗議活動を一揆にしたのでしょうね。

投稿: 練馬のんべ | 2009年8月 2日 (日) 12時47分

納税は真面目にしつつ、選挙で抗議するのが民主主義ってものでしょう。確かに日本の税がアメリカと並んで世界の主要国では最も安いのは事実だし、自立心が強く福祉への依存や増税に厳しい日本人の気質が世界に冠たる小さな政府の日本をつくってきたわけですが、いっきではなく自由な言論と選挙で意思を示すのが民主主義のはずです。

一揆を賛美するのはおかしいです。

投稿: | 2009年8月 2日 (日) 19時04分

?さま
一揆讃美の思想はまさにマルクス主義ですね。民主主義とは相容れません。

投稿: 練馬のんべ | 2009年8月 2日 (日) 22時10分

これを読んだ感想としては「受験の役には立たない」ということですかねぇ?
受験に大して関係ないことを大きく取り上げ、逆に大事な部分をカット。
正直サイドストーリーというか脚注、若しくは副読本での説明にすべき事を大々的に取り上げてますな。
私の中学の頃はこんな酷い教科書はありませんでした(’80年代半ばですが)。
これで学んで高校受験に失敗したら出版社を訴えましょう(笑)。

高校時代はあの山川出版社の教科書で日本史&世界史を学びました。
色々言われますが、受験に関しては最も役に立ちましたし、書くべき事はキッチリ書かれてありました。
教科書で大事な部分を漢字で書かないと、本当に漢字で書けない生徒が増えますよ。
何せ早稲田大学(日本史)で「邪馬台国の女王は誰か?漢字で書け。」って問題がありましたし、京都産業大学(国語・古文)では「奥の細道の作者は誰か?漢字で書け。」って・・・
「ひみこ」とか「まつおばしょう」と答案用紙に書く受験生が多いんでしょうねぇ・・・

投稿: ひろふみ | 2009年8月 5日 (水) 22時12分

ひろふみさん、おひさしぶり!

>これを読んだ感想としては「受験の役には立たない」
>これで学んで高校受験に失敗したら出版社を訴えましょう(笑)
ははは、なるほどその通りですね。謝罪と賠償汁(笑)

>早稲田大学(日本史)で「邪馬台国の女王は誰か?漢字で
当時の我が国の女王様を、シナ人が卑しめて付けた「卑弥呼」って書きたくないなあ。意味としては「媛子」さまではないかと、酔生夢死ののんべがほざいております(笑)


投稿: 練馬のんべ | 2009年8月 5日 (水) 22時43分

じゃあ身分制度や年貢を賞賛する教科書のほうがいいですか?

一揆が民主主義に反するというアホな※があるが、当時は民主制ではない。また、特殊な例外を除いて国も地方も政治は武士階級しかできない。

武士が武力で一方的に年貢を払わせるのはいいが百姓が一揆を起こすのはダメとは、被害者の側を一切無視した発言だ。

そもそも当時の法律が絶対であり反政府活動が許されないなら、アメリカは今だに英国の一部であるべきだし、フランスは王政だし、大多数の日本人は一切参政権は無いはずだが? しかし実際にこんなキチガイ発言をするものは居ないだろう
また、現代の庶民が武士の側に立って反一揆を唱えたり、年貢を賞賛したりすると思うのか?『豚が肉屋を支持する』とは思えないが。

>搾取される我々労働者階級
事実ではないか。被害者を嘲笑する保守貴族は醜いな

>不平等な課税基準や税金の無駄遣いには怒るけど、納税は義務という意識は当たり前です。それは日本の伝統でしょう
はあ?権力で不平等や搾取が行われたら、抵抗や報復をするのは当たり前。殺人などの被害者が報復を願うのと同じだ。これは合法的な収奪の場合も同じで、人民が特権階級に復讐する例は幾らでもあるのだが。
不平等税制や搾取に対して抵抗せず粛々と貢ぎ、不平等な義務を文句言わず行う奴隷が日本の伝統という点では、俺も一致している。

自民の票田の見返りに税制特権を与えられ、圧倒的に軽い税しか払わなくていいという恩恵を受ける自営業者が、重税を搾取される労働者を嘲笑するとはいかに? お前はウヨク気取ってないで、税制利権のために自民支持だと正直に言ったらどうだ。

くりかえすが、
武力を持つ支配階級が一方的に貢租を収奪し、自分らは免税特権がある、などという階級制度を正当化しても庶民は賛成しないだろう。権力、財産、国富を武力で独り占めしたことが罪なのである。革命によって報復されても自業自得だ。

この教科書を批判するわりに、じゃあどう書けばいいのか、が見えてこない。
対案を出せ

投稿: 人民革命党員 | 2009年10月29日 (木) 17時09分

人民革命党員さま

素敵なコメント、まことに有り難い限りです。

なんでも「階級」と仰せですが、まさか、江戸時代の「身分制度」がそんなにがちがちだったとお思いで?農民や商人が士分を買うなんてごく当たり前の時代だったんですけど…

私も日々コマネズミのように働くサラリーマン、あなた方の言う「搾取される労働者階級」なんですけど、納税の義務は当たり前だと思いますよ。「保守貴族」ではなく「不平等な義務を文句言わず行う奴隷」ですけど(笑)

不平等には腹が立つ、それは賛成。今、一番の「搾取階級」は、一日何文字以上は打たないなどの闇協定を結んでいた「自治労」、授業を自習にして組合活動で遊んでいる「日教組」などでしょう。もちろん、その中にの多数派は真面目な公務員や先生方と思いますが、ふざけた連中がクビにならずに幅を利かせているのもまた事実。

江戸時代だって、権力が不当な年貢を取り立てれば一揆が起きたのは事実。それで一揆を起こした方も罰せられたけど、不当なことをした大名も取りつぶしです。
真っ当な殿様は「名君」と農民や町民からも慕われていたわけで、不当でなければ年貢は当たり前と思われていた証拠。

>権力、財産、国富を武力で独り占めした
そうでしたか、勉強になります。支配「階級」が武力でドンドン搾取、とは知りませんでした。武士「階級」が困窮して楊枝を削ったり、商人が「大名貸し」でぼろ儲けしていた時代ですけどね。
(私の日本語がおかしくなってしまったので、少し直しました。失礼。)

>革命によって報復されても自業自得だ
日本で革命なんか起きてませんけど?

>人民が特権階級に復讐する例は幾らでもあるのだが
日本は「人民」の国じゃありませんよ。

それに復讐される「特権階級」は、「自治労」「日教組」などでしょ。少し昔は「ゼネスト」「順法闘争」でサラリーマンに死ぬ思いをさせる国労やら動労やらでした。

こんな教科書より、「新しい歴史教科書」のほうがずっと優れているのは言うまでもないことです。

PS.「人民革命党員 」でググると「モンゴル人完全自由談話室」が一番最初に出てきますね。南モンゴル人民党、を強く応援します!

投稿: 練馬のんべ | 2009年10月29日 (木) 22時03分

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