さあ、いよいよ近代。実はなるべく見ないようにしていたのですが、ついに読まねばならぬ?時がきました(苦笑)
第5章 近代の日本と世界
1.ヨーロッパ近代の成立とアジアの抵抗
マル1.広がる自由と平等 近代市民社会への歩み
マル2.産業革命の光と影 資本主義社会の成立
マル3.アジアの植民地化と抵抗 インドの大反乱と太平天国
マル4.黒船の衝撃 開国と社会変動
マル5.攘夷から倒幕へ 江戸幕府の滅亡
2.明治維新
マル1.すべてを新しく 封建制度の解体
マル2.富国強兵をめざして 明治政府の諸改革
マル3.国際関係の確立 明治初期の外交
ここまでは。正直、つまらん。この教科書、偏向しているところは手厚い記述になるのに、必要なところは薄い。ひどいもんです…
これはないだろう、というのは例によって国際関係。
2のマル3.国際関係の確立
小見出し「朝鮮との外交」抜粋
「1868年、対馬藩は朝鮮に明治維新を知らせる文書を伝えました。その内容は日本が朝鮮の上に立つものだったので、朝鮮は文書の受け取りを拒否しました」
なんのことだろう?明治維新を知らせるのに日本が上?なかなかこれだけでは理解に苦しむ表記です。
自由社の教科書を見たら納得。日本が出したのは国交を結ぶための文書。朝鮮が受け取りを拒絶したのは、日本の国書に不適切な文字が使われている、という理由。日本の天皇を表す「皇」の字は、中国や朝鮮では中国皇帝以外に使ってはいけない文字だったためということです。なんだ、要するに朝鮮は清の属国だから、清の属国でないと称する日本の国書は受け取れない、ということ。この教科書では、「朝鮮は清の属国」は禁句、ないしょ(はあと)…
コラム「北海道の開拓とアイヌの人たち」では知里幸恵が出てきます。「これ誰?」人物ですけど、アイヌ大好きなので大きく出てくること…
さて、いよいよ本命です、ここから本格的に酷い。
3.立憲政治のはじまりと日清・日露戦争
マル1.国会開設をめざして 自由民権運動と政党の誕生
マル2.立憲政治のはじまり 憲法の発布と議会の開設
マル3.朝鮮をめぐる戦い 条約改正と日清戦争
マル4.激動する東アジア 三国干渉と義和団事件
マル5.東アジアの大戦争 日露戦争と国際社会
マル6.保護国から植民地へ 韓国併合と辛亥革命
マル7.各地に工場が 日本の産業革命
マル8.糸を引くのも国のため 社会問題の発生
マル9.広がる新しい文化と生活 明治時代の文化と生活
ひとびと探検隊 改革を求めた人々 坂本龍馬と横井小楠
これはもう突っ込みたいところだらけ、嫌になります。
まずはマル2.立憲政治のはじまり
小見出し「憲法の特色」抜粋
「この憲法では、天皇が軍隊を統率し、戦争をはじめたり、条約を結んだりするなどの大きな権限をもち、憲法の規定にしたがって、大臣の補佐や議会の強力により、国を統治するものとされました。(二院制で議会が予算・法律を決めること、法律の範囲内で言論信仰等の自由・所有権不可侵が認められた旨の記述あり)」
天皇の権力は万能で、天皇独裁だ!というような表現ですが、こんな馬鹿な。例えば「天皇ハ帝国議会ノ協賛ヲ以テ立法権ヲ行フ」は、議会が法律を決めて天皇が公布すること、日本国憲法と変わりません。「国務各大臣ハ天皇ヲ輔弼シ其ノ責メニ任ス」も同じ、大臣が天皇の名で行政を行うわけです。従って、天皇は無権限かつ無責任。「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」はそういう意味です。
NHKのJAPANデビューでは、第4条「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬シ此ノ憲法ノ条規ニ依リ之ヲ行フ」と第1条「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」は矛盾している、と言ってましたから、きっとこの教科書を見て番組を作ったのかも、憲法に従って統治することが問題らしい(笑)
大日本帝国憲法が、国内外から賞賛されたことも、当然のごとくスルーです。
小見出し「教育勅語」抜粋
「忠君愛国、父母への孝行などの道徳が、学校教育を通じて広められました」
と簡単に片付けてますが、この教科書の著者は読んだことないんじゃないの?のんべだって読んでるのに(笑)
マル3.朝鮮をめぐる戦い
小見出し「日清の対立と朝鮮」抜粋
「朝鮮でも近代化の努力がはじまりましたが、日本と清の干渉によって、十分な成果があがりませんでした」
なんだこりゃ?もうやだ(苦笑)
小見出し「日清戦争と下関条約」抜粋
「日清戦争に勝利した結果、東アジアでの日本の勢いは大きくなり、日本人のなかには、中国や朝鮮に対して優越感や差別意識をもつ人もいました」
そりゃあ、別にいつだってそういう人はいるだろうし…
コラム「台湾の植民地化」
「下関条約によって、台湾は日本の植民地となり、1945年までの約50年間にわたって日本に支配されました。そうしたなかで、鉄道などの輸送手段もせいびされていきました。日本は台湾に総督府をおき、日本に統治されることに反対する台湾の人々の運動も弾圧しました。しかし、日本からの独立を求める運動は、その後もつづきました」
次の検定のときには、NHKJAPANデビューを根拠に、日台戦争が記述されるでしょう(笑)
マル6.保護国から植民地へ
もう飽きたのでコピペやめますが(手打ちしてるから面倒なんですよ…代わりに写真を貼っておきます、クリックで読める大きさに拡大)いつものように日本悪い悪い史観で貫かれていて、韓国側でも日本に合併を求める声があったことなんか一切載っていません。これが日本の教科書、ひどすぎ。テロリスト安重根まで出てくるし…
こんなの、例えば有名なこの写真をどう説明するんだろう…「嫌韓」の人たちなら、これに「日本統治後」で焼け落ちた写真を載せるでしょう。のんべはそこまではしませんけど…
マル8.糸を引くのも国のため
女工哀史やら社会問題やらは大好き。なお、ただ1点だけ評価できる点がありました、それは「現在から見ると、ひじょうに悪い条件で働かなければなりませんでした」の「現在から見ると」と書いてあること。
でも、もちろん「なぜ悪い労働条件でまで働かなければならなかったのか」「実家にいたらそれ以上に働いていたのは確実で、当時にしてはそんなに酷い条件だったのか」「働かなければ口減らしに遭った可能性大」など、一切言及されていません。それで「糸を引くのも国のため」もないもんだ…
ひとびと探検隊 改革を求めた人々 坂本龍馬と横井小楠
お、小楠とはなかなかいいところを…と思っていたらちゃあんと中江兆民どころか精神を病んでいたと(家永氏にまで)言われた植木枝盛まで出てくるあたりはいかにもいかにも、ですね。
もうやだ。でもまだ戦前・戦中の日本はこれから、なにが出てくるやら…
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