日本国憲法を読んでみよう(その8.国民権利義務その3)
父「今日は「自由」に関する条文だ。これがいっぱいある」
第十八条【奴隷的拘束及び苦役からの自由】
何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第十九条【思想及び良心の自由】
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。
第二十条【信教の自由、国の宗教活動の禁止】
1
信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2
何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3
国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
第二十一条【集会・結社・表現の自由、検閲の禁止、通信の秘密】
1
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
2
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。
第二十二条【居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由】
1
何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
2
何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
第二十三条【学問の自由】
学問の自由は、これを保障する。
父「信教の自由、政教分離原則について話し出すと長くなるから、これだけは次回のテーマにしよう。これらの「自由権」を謳った条文を見てどう思う」
子「国民という言葉が出てこないわね」
父「そうなんだ。自由権は誰にでも認められるもの、という考えで、国民に限らないんだ。でも、実は自由権がない人がいるんだね」
子「悪いことをした人?」
父「それは第18条の「犯罪に因る処罰」によるものだから仕方ないね。自由権がないのは、皇室の方々。職業選択の自由も、表現の自由もないんだ。もちろん参政権もない」
子「天皇陛下が政治家になったり、特定の政治家を応援するのは変だから当然よ」
父「そうなんだ。でも、例えば贔屓の力士の名前も言えないのは辛いよね。
話を戻そう。例えば表現の自由は保障する、とあるけど、何を言ってもいいのかな。例えば、ウソを付く自由、ってあるのかな」
子「上沼恵美子さんなんか好き放題無茶苦茶言っているわよ」
父「あれはウソではなくホラだから誰も信じないでしょ、笑いのネタだからいいの。そうでなく、例えば必ず値上がりする、と言って潰れた会社の株を売ってもいいのかな」
子「そんなのは詐欺だからだめよ」
父「そうだ。犯罪をする自由、人に迷惑をかける自由などないね。また、例えば度を超えてエッチな本を売るのも問題があるだろう」
子「迷惑をかけるのは全部だめなの」
父「なんでもそうだけど、程度問題だね。例えばトラックが走れば騒音も排気ガスも出る。ほんの少しでもうるさいのは迷惑だからやめろ、ということになれば、物流が止まるから生活できないね。でも、今は珍走団と言うらしいけど、暴走族が爆音を出しながら暴走する自由なんか、許されない話だ。ある程度はお互い様だけど、それで済まないようなことはしてはいけなんだ。ここからだめ、という線引きは難しいけどね」
子「人の嫌がることなら、批判することはだめなの」
父「政府や政治家の批判をする自由は、ウソをつかない限り、普通の人には全面的に認められるべきだ。政府の批判をしたら牢屋にぶち込まれるようでは民主主義ではないね。ただ、マスコミなんかは、社会に対する影響も責任もきわめて大きいから、例えば民主党の悪いことは一切報道せず、自民党の悪いことだけ徹底的に報道するなどは許されることではないよ。
また、最近の話題だけど、8月6日に田母神さんが広島で「日本が唯一の被爆国でなく、共産圏の核に日本の反核団体が寛容であることへの疑問を踏まえ、いかに核の惨禍を回避するか」という趣旨の講演会をしようとしているのだけど、広島市長がやめてくれ、と言っているわけだ。要請文では「いつどこで、何を発言するかは自由」と書いてはいるのだけど、「被爆者や遺族の悲しみが増す結果になりかねない。広島での8月6日の意味は、表現の自由と同様に重要なもの」(全文)としているんだ。気に入らないし迷惑だからやめろ、ということだ」
子「核の惨禍を回避する、という講演会がなんで迷惑なの?」
父「おかしな話だよ。アメリカの核はだめだけど中国や北朝鮮の核は素晴らしい、「あやまちは繰り返しません」と呪文を唱えることだけが許されている、などという無茶苦茶な思想に侵されているんだ。一番大事なのは「原爆を二度と食らわない」こと、それを考える講演会が迷惑だなどというのは、憲法違反はもちろんだけど、人間としてどうかしているね。
「学問の自由」も、犯罪行為でない限り認められるべきなのは当然だ。聖書に反する研究は許されない時代もあった。昔、ガリレオは「地球は動いている」と言って、聖書に反するとして処罰された。学問の自由を謳っている筈の現代の国でも酷い例があるね。例えば韓国では、歴史の先生が竹島は歴史的に見て日本の領土であると言えば、まあ間違いなく先生をクビになるわけだ」
子「検閲をしてはならない、とあるけど、学校教科書の検定はいいの」
父「それは別の話だよ。学校で学ぶ以上、指導要領に沿って教えるのは当然だ。小学1年生の算数教科書に、高校で習うべき微分積分が載っていたら困るだろ。でも、それを「小学1年生向け微分積分」として出版するのは自由だ」
子「そんな無茶苦茶な本、売れるわけないよ」
父「わかりやすく大げさに書いただけだよ。実際は、歴史教科書の家永訴訟が有名で、書き出すときりがないから、これくらいにしておこう」
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