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2009年7月20日 (月)

日本国憲法を読んでみよう(その9.国民権利義務その4、政教分離原則)

父「今日は前回は省略した信教の自由、政教分離について考えてみよう」

第二十条【信教の自由、国の宗教活動の禁止】

 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。

 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。

 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

父「信教の自由とは、政府がどこかの宗教を国民に強制してはいけない、宗教団体も政治的権力を持ってはいけない、ということだ。歴史的に見て、宗教が政治に関係すると碌なことはないんだ」

子「公明党の支持母体は創価学会だけどそれはいいの」

父「内閣法制局の解釈では、グレーだけど黒ではない、ということらしい。おかしいと思うけどね」

子「首相が靖國神社に参拝するのはどうなの」

父「首相が国民に対して靖國神社参拝を強制したら問題だろうね。でも、首相が参拝したところで「特権」「宗教的活動」などにあたるはずもない。完全な政教分離などできるはずもない。なんでかわかるかい」

子「どうしてなの」

父「例えば、京都には有名なお寺がたくさんあるね。もし税金から一切援助してはいけないとなったら、京都市は、お寺を文化財として保存することに関与できなくなる。お寺に資金がなくなって土地が売られ、伝統ある寺院が取り壊されてそこにマンションがばんばん建つ、なんてことはいいのかな?」

子「いいわけないじゃん。神社仏閣は貴重な文化財だよ」

父「現実に神社仏閣に対して京都市はお金を出しているけど、神社仏閣の宗教を応援するためかな」

子「しつこいよ。日本人にとって大切な文化財を保護するためで、宗教を応援するためのはずないよ。京都の神社仏閣は宗教の建物かも知れないけど、一般的には観光地だよ」

父「その通りだ。つまり、神社仏閣は日本の伝統文化の担い手。同じように、宗教法人が運営する私立学校は、教育の担い手。そういう面を国や地方自治体が応援するのは憲法違反とすべきではないんだ」

子「じゃあ、政教分離というのはなんなの」

父「政教分離とは、政府が宗教を不当に弾圧したり優遇したりするのはだめだし、宗教も政治にかかわることで不当な利権を漁ったり不法行為を認めさせたりするのはだめだよ、ということだ。例えば、どこかの宗教団体の構成員しか見られない秘密の像があるとしよう。宗教団体の信者は拝めるけど、他の人たちは排除している。そういうものは文化財ではなく、宗教の象徴だから、それにお金を出してはいけないんだ。私立学校でも、例えば1日6時間の授業のうち、1時間は礼拝の時間、5時間は英数など一般的教科の時間としようか。礼拝の時間に対して私学補助は×、一般教科の時間に対しては○なんだ」

子「なんとなくわかってきたわ」

父「慰霊という行為はどうだろう。亡くなった方を単に思い出すだけなら宗教的行為ではないけど、「霊」を慰める、という行為はどう転んだって宗教的なものだ。日本人でも、最近は無宗教の葬式が増えているらしいけど、無宗教ではなく、特定の宗教の形式によらない、ということだ」

子「お墓参りも宗教的行為ね」

父「そうだね。だったら、慰霊を国が行ったら憲法違反なんだろうか。そんなことはないね。8月15日の戦没者追悼式が問題にされたことはない。東京都慰霊堂では仏式、つまり特定の宗教で行っているけど、それですら問題ない」

子「あくまでも先人に感謝し慰霊すること目的であって、宗教団体の応援が目的ではないからいいのね」

父「そうだよ。ところが、戦死なさったみなさまに感謝するために靖國神社に首相が参拝するだけで、政教分離が大騒ぎになる。日本の政教分離というのは、政治と神社の分離だけが徹底される、インチキなものだ」

子「なんでそうなったの」

父「GHQが目の敵にしたのを未だにひきずっているのだね。あと、東京裁判という名の戦勝国の復讐劇を今でも金科玉条にする人たちがいて、その裁判で一方的に殺された人たちを貶めたいんだ。すべては日本を大東亜戦争の敗戦国のままにしておきたい人たちのご都合なんだ。靖國神社はその象徴だ。まあ、この憲法は敗戦のときにGHQが押しつけたもの、当然といえば当然だ。これをいつまでも廃棄せずに放置している日本人の怠慢こそが問題だよね」

子「戦争に負けてからもう60年以上たつわよ」

父「いい加減もう敗戦国はやめたらいいと、お父さんも思うよ」

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