日本国憲法を読んでみよう(その3.天皇その2)
父「今日は天皇陛下のお仕事についてだ」
第三条【天皇の国事行為と内閣の責任】
天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。
第四条【天皇の権能の限界、天皇の国事行為の委任】
1
天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。
2
天皇は、法律(国事行為の臨時代行に関する法律)の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。
第五条【摂政】
皇室典範の定めるところにより、摂政を置くときは、摂政は、天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、前条第一項の規定を準用する。
第六条【天皇の任命権】
1
天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。
2
天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。
第七条【天皇の国事行為】
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
一
憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二
国会を召集すること。
三
衆議院を解散すること。
四
国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五
国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六
大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七
栄典を授与すること。
八
批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九
外国の大使及び公使を接受すること。
十
儀式を行ふこと。
第八条【皇室の財産授受の制限】
皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。
父「第3条と第4条1項を読んで、どう思う?」
子「第3条の、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ、ってどういうこと」
父「そう、それが大切なところだ。内閣が、天皇陛下のなさる国事行為をすべて決めて、その責任を取る、ということ。陛下には決める権限も責任もないんだ」
子「陛下のなさることは形だけなの」
父「国事行為という意味では、まさにその通りなんだ。第4条1項では政治的行為はできない、と決めているのも趣旨は同じだね」
子「国事行為ってなんなの」
父「それが第7条に列挙してあるんだ。第6条も同じ意味だ。これがすべて陛下のお仕事で、地方への行幸啓も多いので、これだけでも普通のサラリーマンよりずっと忙しいよ」
子「大変なのね。行幸啓ってなあに」
父「天皇陛下がお出かけになることが行幸、皇后陛下、皇太子殿下、皇太子妃殿下なら「行啓」、両陛下でご一緒にお出かけになるのが行幸啓だよ。
さて、ここまで話したのは憲法上のお仕事で、陛下のお仕事の半分。もう半分は、宮中祭祀と言って、日本と国民が幸せでありますように、とお祈りなさること。毎日神様をご親拝なさっているし、他に大きなお祭りが、元日には四方拝、正月3日に元始祭など、毎月2~3回はあるんだ。特に、春秋のお彼岸の皇霊祭、収穫を祝う10月17日の神嘗祭と11月23日の新嘗祭などは大切なんだ」
子「陛下が毎日国民のために祈ってくださっているなんて知らないよ」
父「テレビでは放送しないからね」
子「でも、お祭りって楽しそう」
父「鎮守様の秋祭りでどんどんひゃららではないんだ。厳粛なお祭りで、ずっと正座しなければいけないから大変だよ」
子「そういえば、11月23日は勤労感謝の日で祝日ね」
父「いいところに気づいたね。戦前は新嘗祭で祭日だったけど、戦後も名前を変えて残っているんだ」
子「国事行為と宮中祭祀では、どちらが大切なの」
父「どちらも大切で比較できるものではないよ。ただ、国事行為は皇太子殿下や秋篠宮殿下に代行をお願いできるけど、宮中祭祀は原則として天皇陛下しかできないんだ」
父「天皇陛下についての憲法のお話は一応おしまい。次回は、第1条の「国民主権」について話そう」
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コメント
>日本と国民が幸せでありますように、とお祈りなさること
お見事でございます。
ハッキリ言って、大学時代の教授より遥かに解り易いです。
といっても、思想的に偏っていた人ではなかったです。
どちらかというと、私の方がかなり護憲派でした (^^;
投稿: ハーグ竹島 | 2009年6月 7日 (日) 12時19分
ハーグ竹島さま
以前コメントいただいてまことに同感でしたので、その通り記載しました(笑)
投稿: 練馬のんべ | 2009年6月 7日 (日) 18時15分