日本国憲法を読んでみよう(その1.前文)
中学生の子供に、日本国憲法について聞いたところ何も知らない。これでは困りますので、少し教えようと思ってこの連載をすることにしました。対話式にしてみます。なお、この対話はフィクションです。
日本国憲法を読んでみよう(その1.前文)
父「日本国憲法くらい知らないと恥ずかしいぞ」
子「え、勘弁して、眠くなりそう」
父「まあ、それは覚悟するしかないね。今日は前文を読んでみよう。
日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。
父「戦争に負けて、世界中が平和であってほしい、という願いが感じられるね」
子「それならいいんじゃないの」
父「でももう平和な時代じゃないんだ。これは日本国憲法の前提でしょ?平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。ってあるけど、ミサイルを撃ち核実験する北朝鮮を信頼できるかい?」
子「できるわけないじゃん」
父「そうだろ。だからこの前文、もはや意味がないんだ」
子「ふーん。じゃあなんでそのままなの」
父「うーん、それを言われると困るなあ…どうしても、これを直したくない、っていう人たちがいっぱいいるんだよ」
子「不思議だね」
父「あと、そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。という一節は、リンカーンの有名な演説の一節「人民の人民による人民のための政治」のパクリだね」
子「なあにそれ」
父「なんだ、そんなことも知らんのか…明治維新の少し前、アメリカでは南北戦争という内戦があったのだけど、その最大の激戦地ゲティスバーグで、数ヶ月後に戦没者墓地の献納式が行われたんだ。そのときのリンカーン大統領の演説に、この一節があるんだ」
子「よくわかんない」
父「靖國神社で首相が挨拶したようなもんだよ。戦没者に対して、これからいい政治をしますよ、と誓ったわけだね。これは占領軍が日本国憲法の原案を作るときに真似したんだろうな」
子「アメリカって日本をいい国にしようとしたの」
父「さあ、それはどうかな。日本を二度と戦争ができない国にしようとしたのは確かだね」
子「いいことじゃないの」
父「この戦争ではアメリカ人もたくさん死んだから、日本人の強さにこりごりして、牙を抜きたかったんだろうな。今日はこれくらいにしようか」
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コメント
ビジネス社から「日本国憲法無効化宣言」という本が出版されております。
渡部昇一、南出喜久冶先生らが対談形式で、現憲法を破棄すべき正当な理由が書かれています。
また、この本には大日本帝国憲法、日本国憲法、サンフランシスコ講和条約が付録として掲載されています。
一般的に、大日本帝国と聞くと目を逸らす傾向がありますが、私は帝国憲法は現代でも十分に通用する内容だと思います。
今の憲法を改正するよりも、帝国憲法を改正すべきところを改正し、GHQの残していった日本国憲法は無効化すべきではないかと昨今の情勢から伺えます。
投稿: みけ | 2009年6月 1日 (月) 22時26分
みけ様
無効論は大いに納得できる話です。帝国憲法の手続にもハーグ陸戦条約にも反した(講和条約としか考えられない)憲法が、今も有効なんておかしい。
でもまあ、それ以前に、日本国憲法が何者か、子供には教えておきたい。自分の子供に読ませるための連載(苦笑)
投稿: 練馬のんべ | 2009年6月 1日 (月) 22時46分
最後のところがアメリカの本音ですね。
朝鮮戦争に時になって、マッカーサーが、日本のいくさは自衛戦争だったなどと主張したのも、自国の役に立つ分ならば、と言う発想でしかなく、それがなければ、いまだに日本を非武装状態におきたかったのでしょうな。
投稿: DUCE | 2009年6月 2日 (火) 20時12分
DUCEさま
そう、アメリカは常に「日本を利用」するという考えだけでしょう。戦後では、共産主義を甘やかしておいて、いざ共産主義が本格的に脅威になると、日本をその防波堤にしよう、ということ。期待しても無駄ですが、日本は逆にアメリカを徹底的に利用すべき。戦後直後の吉田首相他の方々はそれをわかっていたのでしょうが、田中角栄逮捕以後は、すっかりダメになりました。
投稿: 練馬のんべ | 2009年6月 2日 (火) 21時35分
先ず、憲法を全部、自分で構築してみよう!
思いつくのを探してみよう!
投稿: 日本国憲法 | 2009年9月21日 (月) 18時48分
日本国憲法さま
>先ず、憲法を全部、自分で構築してみよう!
>思いつくのを探してみよう!
はあ……
投稿: 練馬のんべ | 2009年9月21日 (月) 19時23分