日本国憲法を読んでみよう(その2.天皇その1)
父「次は天皇陛下のことだ」
第一章 天皇
第一条【天皇の地位・国民主権】
天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。
第二条【皇位の継承】
皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。
父「まず大事なのは第一条だね。日本国の象徴、ってわかるかい」
子「わかんない」
父「じゃあ聞き直そう。日本ってこれ!と言ったらなんだい」
子「日本列島と日本人?」
父「そりゃあそうだけどね。日本ってこれ!と言えばまず富士山でしょ。他にはあるかな」
子「あ、そういうこと。そう…桜」
父「そうそう。日本といえば桜だ。他にはお米だね」
子「侍は」
父「え、侍?あ、侍JAPANか。そう、武士道もそうだね」
子「それと天皇と何の関係があるの」
父「天皇陛下とお呼びしなさい。日本といえば天皇陛下、ってことだよ。日の丸も同じだ」
子「簡単なことね」
父「そうなんだよ。日本国民統合の象徴、というのは国民のまとまりの象徴ってこと。国民のまとまり、とは国のことだから、つまり日本国の象徴、同じことを繰り返しているんだ」
子「かえってわかりにくいよ」
父「そう言われると反論できないな。さて、主権の存する日本国民の総意に基く。とはなんだろう。法律用語なら総意ではなく意思なんだ。意思だと、現在の日本国民がだめ!と言ったらだめだね。でも、総意って空気みたいなもので、しかも現存している日本人だけではなく、永年天皇陛下と共に生きてきた日本人の先輩達、そしてこれから日本人として生きていく後輩達みんなの無意識の思いなんだ。一言で言えば、伝統ってことだ」
子「天皇陛下は日本の伝統なのね」
父「そうだよ、よくわかったね。それが第2条の「世襲」に続くんだ」
子「天皇陛下の子供に生まれると勉強しなくても天皇陛下になれていいわね」
父「そういう馬鹿なことを言ってはいけない。天皇陛下は実はハゼの研究では世界的な学者なんだよ。でも、普段は土日もなく早朝から夜遅くまで働いていらっしゃる。普通の人間だったらそれだけで過労死間違いないくらいのものだ。それに加えて研究なさっているんだよ」
子「そんなの聞いたことないよ」
父「テレビでも陛下の激務については報道しないから、知らなくて当たり前だけどねえ。それに、天皇になるのなんか嫌だ、とは言えないんだよ」
子「どんな仕事してるの」
父「陛下には敬語を使いなさい。陛下のお仕事は、次の課題にしよう。もうひとつ覚えていてほしいのは、皇室典範は国会の議決、ということだけど、これはおかしいんだ」
子「なんで」
父「国会で決めるとは選挙権のある国民が決めるということ。でも、陛下に誰がなるか、選挙権のある国民が決めることではないんだ。伝統は民主主義に馴染まない、とでも言うのかな。変な喩えだけど、日本一美しい山を選挙で決めることはできないだろ」
子「そんなの富士山に決まってるよ」
父「そうだね。でも、富士山を日本一美しい山、と決めたのは人間ではないね、多分神様だ。同じように、天皇陛下になれるのは誰か、決めるのは神様なんだよ」
子「総理大臣も神様が決めるの」
父「いや、総理大臣は国会、つまり国民がきめるんだ。権力者は国民が決めるけど、権威者は神様が決める。これでは何のことかわかんないね。富士山が日本一美しいと決めたのは神様だけど、富士山が見える場所を誰に使わせるか決める、それは人間の仕事。でも誰かの好き勝手にされたらたまらないから、誰に決める力を持たせるか、それはみんなの選挙で決めよう、ということだ」
子「富士山の美しさは神様が決めたけど、富士山をどう利用するかは、選挙で選ばれた人が決める、ということね」
父「おっと、お父さんの説明よりずっとわかりやすいね。その通りだ」
子「誰が天皇陛下になれるかは神様が決めたけど、天皇陛下をどう利用するかは総理大臣が決める、ということなの」
父「ずいぶん失礼な言い方だけど、その考えは正しいんだ。次回はその話、つまり天皇陛下のお仕事の話だ」
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コメント
まずは、復帰おめでとうございます。
いい講義ですね。欲を言うならば、天皇陛下の最大の仕事は
「国民、国家の幸せを願う事」である事を教えて欲しいです。
各種行事への出席、祭礼などは結局のところ、これに尽きるのですから。
また、講義の際は親子ともども是非とも正座にて
お願いします(笑)。
今後も、このシリーズを楽しみにしています。
投稿: ハーグ竹島 | 2009年6月 3日 (水) 10時12分
ハーグ竹島さま
ありがとうございます、身が引き締まります。
>天皇陛下の最大の仕事は「国民、国家の幸せを願う事」
まさに仰せの通り、願い祈ることが一番のお仕事であり、日々それをなさっていると思いますが、憲法には書いてないんですよね。この憲法は国民の幸せを願っていない。陛下が憲法よりはるか上にあること、それだけでもわかります。
投稿: 練馬のんべ | 2009年6月 3日 (水) 19時28分
先日のNHKJAPANデビュー第二回放送も酷かったらしいですね。
チャンネル桜のジャーナリストによると・・・
そのJAPANデビュー二回目の番組後半で遠回しに憲法でも認められている天皇・皇室そのものの廃絶(「今一度皇室制度のあり方を真剣に考える必要がある」などと言ったらしい)しよう!という旨の発言を複数の出演者が言っていたそうな。
要はこの番組は「反日左翼」の宣伝番組かと・・・
NHKでもまともな番組あるんですがねぇ・・・
(桜のジャーナリストも「NHK全部が全部悪いわけじゃない」と言っておられた)
投稿: ひろふみ | 2009年6月 3日 (水) 21時46分
ひろふみさん
第2回は最初数分見て、気持ち悪くなって(せっかく酒のんでいい気分のときに悪酔いするような番組を見たら…)すぐ切りました。「正論」今月号でも話題になっていますが、やはり酷かったようです。こちらをご参照を。
1/4 http://jif.blog65.fc2.com/blog-entry-104.html
2/4 http://jif.blog65.fc2.com/blog-entry-103.html
3/4 http://jif.blog65.fc2.com/blog-entry-102.html
4完/4 http://jif.blog65.fc2.com/blog-entry-101.html
投稿: 練馬のんべ | 2009年6月 3日 (水) 22時14分