国籍法改悪、パブリックコメントなしに施行
どうせそんなこったろうと思いましたけど、やはり来年の元日に施行、パブリックコメントはありませんでした。
行政手続法では政省令を定めるときは意見公募すべし、となっています。フローは以下の通りです(クリックで拡大/総務省HPより引用)
すなわち、今回意見公募が行われなかったのは行政手続法違反です。もっとも法にはちゃあんと抜け道があり、
「公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、第1項の規定による手続(以下「意見公募手続」という。)を実施することが困難であるとき」は行わなくてもいいわけです。国籍法改悪など、不要不急は明らかでそれに当たるはずもありませんが、強弁するのでしょうね。
どさくさ紛れのインチキ法であること、自ら証明したようなものです。
ぜひ、廃止を求めて麻生首相宛に請願しましょう。(前の記事ご参照ください)
(続きには行政手続法第6章 意見公募手続等転載)
第6章 意見公募手続等
(命令等を定める場合の一般原則)
第38条 命令等を定める機関(閣議の決定により命令等が定められる場合にあっては、当該命令等の立案をする各大臣。以下「命令等制定機関」という。)は、命令等を定めるに当たっては、当該命令等がこれを定める根拠となる法令の趣旨に適合するものとなるようにしなければならない。
2 命令等制定機関は、命令等を定めた後においても、当該命令等の規定の実施状況、社会経済情勢の変化等を勘案し、必要に応じ、当該命令等の内容について検討を加え、その適正を確保するよう努めなければならない。
(意見公募手続)
第39条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合には、当該命令等の案(命令等で定めようとする内容を示すものをいう。以下同じ。)及びこれに関連する資料をあらかじめ公示し、意見(情報を含む。以下同じ。)の提出先及び意見の提出のための期間(以下「意見提出期間」という。)を定めて広く一般の意見を求めなければならない。
2 前項の規定により公示する命令等の案は、具体的かつ明確な内容のものであって、かつ、当該命令等の題名及び当該命令等を定める根拠となる法令の条項が明示されたものでなければならない。
3 第1項の規定により定める意見提出期間は、同項の公示の日から起算して30日以上でなければならない。
4 次の各号のいずれかに該当するときは、第1項の規定は、適用しない。
1.公益上、緊急に命令等を定める必要があるため、第1項の規定による手続(以下「意見公募手続」という。)を実施することが困難であるとき。
2.納付すべき金銭について定める法律の制定又は改正により必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法についての命令等その他当該法律の施行に関し必要な事項を定める命令等を定めようとするとき。
3.予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる当該金銭の額の算定の基礎となるべき金額及び率並びに算定方法その他の事項を定める命令等を定めようとするとき。
4.法律の規定により、内閣府設置法第49条第1項若しくは第2項若しくは国家行政組織法第3条第2項に規定する委員会又は内閣府設置法第37条若しくは第54条若しくは国家行政組織法第8条に規定する機関(以下「委員会等」という。)の議を経て定めることとされている命令等であって、相反する利害を有する者の間の利害の調整を目的として、法律又は政令の規定により、これらの者及び公益をそれぞれ代表する委員をもって組織される委員会等において審議を行うこととされているものとして政令で定める命令等を定めようとするとき。
5.他の行政機関が意見公募手続を実施して定めた命令等と実質的に同一の命令等を定めようとするとき。
6.法律の規定に基づき法令の規定の適用又は準用について必要な技術的読替えを定める命令等を定めようとするとき。
7.命令等を定める根拠となる法令の規定の削除に伴い当然必要とされる当該命令等の廃止をしようとするとき。
8.他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理その他の意見公募手続を実施することを要しない軽微な変更として政令で定めるものを内容とする命令等を定めようとするとき。
(意見公募手続の特例)
第40条 命令等制定機関は、命令等を定めようとする場合において、30日以上の意見提出期間を定めることができないやむを得ない理由があるときは、前条第3項の規定にかかわらず、30日を下回る意見提出期間を定めることができる。この場合においては、当該命令等の案の公示の際その理由を明らかにしなければならない。
2 命令等制定機関は、委員会等の議を経て命令等を定めようとする場合(前条第4項第4号に該当する場合を除く。)において、当該委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施したときは、同条第1項の規定にかかわらず、自ら意見公募手続を実施することを要しない。
(意見公募手続の周知等)
第41条 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めるに当たっては、必要に応じ、当該意見公募手続の実施について周知するよう努めるとともに、当該意見公募手続の実施に関連する情報の提供に努めるものとする。
(提出意見の考慮)
第42条 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見(以下「提出意見」という。)を十分に考慮しなければならない。
(結果の公示等)
第43条 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定めた場合には、当該命令等の公布(公布をしないものにあっては、公にする行為。第5項において同じ。)と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。
1.命令等の題名
2.命令等の案の公示の日
3.提出意見(提出意見がなかった場合にあっては、その旨)
4.提出意見を考慮した結果(意見公募手続を実施した命令等の案と定めた命令等との差異を含む。)及びその理由
2 命令等制定機関は、前項の規定にかかわらず、必要に応じ、同項第3号の提出意見に代えて、当該提出意見を整理又は要約したものを公示することができる。この場合においては、当該公示の後遅滞なく、当該提出意見を当該命令等制定機関の事務所における備付けその他の適当な方法により公にしなければならない。
3 命令等制定機関は、前2項の規定により提出意見を公示し又は公にすることにより第三者の利益を害するおそれがあるとき、その他正当な理由があるときは、当該提出意見の全部又は一部を除くことができる。
4 命令等制定機関は、意見公募手続を実施したにもかかわらず命令等を定めないこととした場合には、その旨(別の命令等の案について改めて意見公募手続を実施しようとする場合にあっては、その旨を含む。)並びに第1項第1号及び第2号に掲げる事項を速やかに公示しなければならない。
5 命令等制定機関は、第39条第4項各号のいずれかに該当することにより意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合には、当該命令等の公布と同時期に、次に掲げる事項を公示しなければならない。ただし、第1号に掲げる事項のうち命令等の趣旨については、同項第1号から第4号までのいずれかに該当することにより意見公募手続を実施しなかった場合において、当該命令等自体から明らかでないときに限る。
1.命令等の題名及び趣旨
2.意見公募手続を実施しなかった旨及びその理由
(準用)
第44条 第42条の規定は第40条第2項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定める場合について、前条第1項から第3項までの規定は第40条第2項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定めた場合について、前条第4項の規定は第40条第2項に該当することにより命令等制定機関が自ら意見公募手続を実施しないで命令等を定めないこととした場合について準用する。この場合において、第42条中「当該命令等制定機関」とあるのは「委員会等」と、前条第1項第2号中「命令等の案の公示の日」とあるのは「委員会等が命令等の案について公示に準じた手続を実施した日」と、同項第4号中「意見公募手続を実施した」とあるのは「委員会等が意見公募手続に準じた手続を実施した」と読み替えるものとする。
(公示の方法)
第45条 第39条第1項並びに第43条第1項(前条において読み替えて準用する場合を含む。)、第4項(前条において準用する場合を含む。)及び第5項の規定による公示は、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により行うものとする。
2 前項の公示に関し必要な事項は、総務大臣が定める。
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コメント
TBありがとうございます。
インチキであることを自ら証明しているわけですね(怒!)
投稿: coto matoca | 2008年12月13日 (土) 23時43分
「行政手続法」「政省令(政府による令・省庁による令)」という単語から分かるように、この「命令等」は行政府が作る法規のことです。
「法律」は立法府(国会)の制定するものですから、この「命令等」にはあたりません。
行政手続法第二条に用語の定義が書いてあるのですが、そこで「命令等」は「法律に基づく命令又は規則」というように、法律の支配下にある別の存在として定義されています。
>第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
>(一~七省略)
>八 命令等 内閣又は行政機関が定める次に掲げるものをいう。
> イ 法律に基づく命令(処分の要件を定める告示を含む。次条第二項において単に「命令」という。)又は規則
> (ロ・ハ・ニは省略します)
ですから「法律」である国籍法の改正にあたって、「命令等」について定めた行政手続法第39条は適用されないのです。
投稿: yakky | 2008年12月14日 (日) 01時16分
なおパブリックコメントについては
「法律」は国会での議員による議論・投票を通して国民の意見が反映されていると言うことが出来る。
だけど、行政府が「命令等」を作る時は国会の審議と投票というプロセスを通さない。
そこで、国民の意見を反映していると言えるようにするために広く意見を公募しよう。
という感じに考えると分かりやすいかと思います。
投稿: yakky | 2008年12月14日 (日) 01時24分
yakkyさま
行政手続法につき、わかりやすい解説ありがとうございます。「国籍法」自体は「法律」なので、「国籍法」自体では仰せの通りかと思います。
ただ、今回の「国籍法の一部を改正する法律」をご確認頂ければわかりますがhttp://www.moj.go.jp/HOUAN/kokuseki/refer02.html
第十条 附則第二条第一項、第四条第一項及び第五条第一項の規定による届出の手続その他この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める。
とあります。「法務省令」は行政手続法の「命令等」にあたりますので、施行する上でパブリックコメントが当然に必要になります。
投稿: 練馬のんべ | 2008年12月14日 (日) 06時21分
ことさま
そう、こんな慌ただしくやること自体インチキ。まあ「公布の日から起算して二十日を経過した日から施行」ということで時間がないけど、行政手続法ではパブコメ期間の短縮も可能なわけですから…
投稿: 練馬のんべ | 2008年12月14日 (日) 07時04分
定額給付金1万2千円、終了のお知らせです。
フィリピンの子供は裁判をしなくても、日本国籍が取れてました。(国籍法第八条四)
今、報道せずに汚染米輸入よりひどい法律が作られています。
血がつながってるかどうか判らない海外の子供(30歳)を税金で養う法律です。
国籍法改正案まとめ
http://www14.atwiki.jp/shinkokuseki/pages/94.html
http://kokuseki.crazy.futene.net/
日本語が解らない人を無制限に日本人にするなら、1歳の子にも選挙権や裁判員義務を与えるべきです。
こんな法律に賛成できますか?
みんなが反対すれば、汚染米もストップできたと思いませんか?
政治家さんも動いてくれてます。
お願いします。
国籍法改正案で検索して下さい。
メールでネットでクチコミで広めて下さい。
全て知ってるマスコミに隠されたまま、給付金の倍の税金をあなたの大切な人に支払わせますか?
クチコミ県別マップ
http://kokuseki.xrea.jp/db/map
大切に育てられてるブログにコメントさせて頂き感謝します。
投稿: 国籍法改正案 | 2008年12月14日 (日) 12時42分
国籍法改正案さま
コメント有り難うございました。
再改正に向けて頑張りましょう!
投稿: 練馬のんべ | 2008年12月14日 (日) 13時11分
練馬のんべさま
御指摘の附則は、改正後の国籍法第三条第一項であれば国籍を認められていたのに、届出が施行前であったり改正の遅れで届出をし損ねて不利益を受けた人に対する救済措置を定めたものです。
まず救済措置を設けること自体やその期間・対象等は上位の法律で定められていますから、命令等ではどうこう出来ません。そこにはパブリックコメントは関わりません。
では次に問題になるのは、その運用・手続についてです。
これらの人が国籍を取得する根拠となるのは国籍法第三条第一項です。そして附則の「法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる」という規定も、国籍法本文の規定と同じです。
ですからこの附則は「改正の遅れにより不利益を被った人に、改正後の国籍法第三条一項を適用する期間を設ける」という風に理解出来ます。
国籍法第三条一項に関する命令等は、改正前からのものが存在しています。そして上の理解を踏まえれば、御指摘の附則もこれらの命令等によって運用されるでしょうし、そこに特に問題はないように思われます。
第三条一項に関する命令等を変更するにしても、それが国籍法改正(婚姻要件の削除)に伴う最低限のものであれば、「他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理」として、パブリックコメントの対象にはなりません。
いずれにせよ、国籍法の施行にあたって、パブリックコメントは必要とされないように思えます。
投稿: yakky | 2008年12月14日 (日) 16時21分
yakky様
婚姻要件の削除に伴い、虚偽申告を防止するため必要書類や手続は大幅に変わらざる得ないと考えます。
そのほか付則では「この法律の施行に関し必要な事項」は省令で定められることになっています。手続はどのように行われるのかなど、勝手に決めてよいというようなものではありません。
yakky様の解釈は、パブコメへの狭義の解釈、と私は感じました。
投稿: 練馬のんべ | 2008年12月14日 (日) 17時20分
練馬のんべ様
>虚偽申告を防止するため必要書類や手続は大幅に変わらざる得ない
まず虚偽申告の可能性自体は改正前から存在します。
また法務局のサイト(ttp://www.moj.go.jp/ONLINE/NATIONALITY/6-1.html )においても、改正前後では「認知及び婚姻事項の記載がある父の戸(除)籍謄本」が「認知事項の記載がある~」と変更されただけですので、必要書類や手続の大幅な変更はなされないのではないでしょうか。
最高裁判決においても、改正前の必要書類・手続で婚姻要件以外の要件を満たしていた上告人らについて、「同項の規定により日本国籍を取得したものと解するのが相当である」として国籍取得を認めていますから、手続の大幅な変更を伴わずに婚姻要件を削除することは十分に可能なはずです。
>「この法律の施行に関し必要な事項は、法務省令で定める」ことになっており~
これ自体には、法律で定めていない部分は省令により定めるという意味合いでしかなく、既に存在する省令の適用を否定するものではありません。
>勝手に決めてよいというようなものではありません。
私はこのレスの冒頭で述べたように、必要書類や手続の大幅な変更はないものと考えています。これも以前のレスの繰り返しになりますが、あくまで既存の法律から要件を1つ削除したに過ぎないのですから「他の法令の制定又は改廃に伴い当然必要とされる規定の整理」の範囲内であろう、と。故に「勝手に決めた」とは言えないのではないかと思います。
またそれを除いても、最高裁判決と法令の不一致、ならびに国籍取得の届出が全て留保されている状態というのは、速やかに解消されることが求められる類ではないかと。
これ以上は互いに「すべきである」「する必要はない」の繰り返しになりそうですので、おいとまさせていただこうかと思います。
投稿: yakky | 2008年12月15日 (月) 00時14分
なお、老婆心ながら申し上げますと、パブリックコメントを伴わないことを請願の理由の一つとする場合、実際にどのように「命令等」が変更されるのか把握なさったうえで、それがパブリックコメントを要する変更であると明らかにされた方が良いかと.。
具体的には分からないけど大幅な変更がなされているはずで、それはパブリックコメントが必要なはずだ、では通る請願も通らないかと思います。
投稿: yakky | 2008年12月15日 (月) 00時18分
yakkyさま
大いに参考になるコメント、誠に有り難うございました。
なお、最高裁判決による修正がそんなに急を要するものとも思えません。少なくとも衆議院法務委員会の審議を3時間にするとか、パブコメの期間を取らないとかの理由にできるほどのものでもないでしょう。
PS.コメント修正+訂正メモ削除しました、ご了承を。
投稿: 練馬のんべ | 2008年12月15日 (月) 08時17分