以下、「老兵の独り言」さん(感謝!)からの転載。安倍前首相、ただ独り気を吐きました。復活へののろしかも知れません。
---「価値観外交の《重い矢》が放たれた」---
小生の知人の中国人ですが、国籍は未だ中国籍ですが以下のメールを寄せられました。原文のまま転載します。さすが安部前総理と言いたいとこです。
「価値観外交の《重い矢》が放たれた」(表題は小生が付けました)
胡錦濤の日本訪問は、日本の政治家がいかに国民感情とかけ離れてるかを現しています。
5月6日、東京都内で、前衆議院議員牧野聖修らが呼びかけ人になって設立した「セーブ・チベット・ネットワーク」主催のシンポジウムに1000人以上の人々がかけつけたが、驚いたことにそのほとんどは若者でしかも多くのカップが存在したことであります。
町で署名活動中、ほとんどの日本国民が中国の人権状況に憂慮していることがわかるが、今回胡錦濤訪日で、町中の誰に聞いても日本の政治家よりマシなコメントを得られると思います。胡錦濤に真に人権改善を求めたのは、安倍前首相だけでしょうね。
日本には根強い「中国感情」(好き嫌いは別に、関心)があるのかなと思います。おそらく、これからも中国に対する関心がますます強くなるでしょう。
長野のリレーなどをきっかけに、「中国問題」も日本においての一つの運動として成り立つ可能性があると思います。また、可能であれば、国際的連携も大事になってくると思われます。
「拉致問題」をきっかけに日本国民の国際問題意識が再び芽生え、「中国問題」で定着するのではないでしょうか。
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日本政策研究センターサイトより
http://www.seisaku-center.net/modules/wordpress/index.php?p=527
安倍発言で守られた「日本の名誉」
来日した胡錦濤国家主席に対し、日本側からいつチベット問題への意思表示がなされるのかと、半ば《諦め気分》でいたところ、ようやく今朝、歴代首相による胡主席との朝食会の場で、安倍前首相が鋭くこの問題を提起した。産経の速報によれば、安倍前首相はまず次のように切り出したという。http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/diplomacy/143291/
安倍氏は「戦略的互恵関係の構築に向け、相互訪問を途絶えさせない関係を作っていくことが重要だ」と述べ、小泉氏の靖国参拝をめぐり中国側が首脳交流を途絶えさせたことを暗に批判。その上で「北京五輪を前にチベットの人権状況を憂慮している。ダライ・ラマ側との対話再開は評価するが、五輪を行うことでチベットの人権状況が改善される結果が出ることが重要だ」とクギを刺した。
世界各国の首脳からは、このチベット問題に対する深刻な懸念表明が相次いでいるのに、これまで日本の政府・与野党関係者からはこうした率直な意見表明が全くなされていなかった。それどころか、民主党の小沢代表に至っては、「胡主席のリーダーシップを見習いたい」とまで、聞くも恥ずかしい《ご追従発言》に終始する始末。いよいよもってこの国は腐り果てる他ないか、と思い始めていた中でのこの注目発言。ようやく日本の名誉もぎりぎりの所で守られた、と安堵した方々も多かったのではなかろうか。
とはいえ、胡主席はこの安倍前首相の発言には何も答えず、全くの無視を決め込んだようだ。ならば、ここでもう一人くらい、同じ発言を繰り返したら効果があるのに、とは誰もが思うところだが、その後の森首相は「日本で北京オリンピックの成功を最も祈っているのは日本体育協会会長であり、日本オリンピック委員会理事である私だ」と、再びピント外れ発言に終始。一体この人は、毎日何を考えているんだろうと改めて思わされた。
ところで、報道によれば、安倍首相の発言はこれだけでは終わらなかった。周到に「二の矢」が用意されていたのである。以下のごとくだ(産経)。
さらに安倍氏はウイグル問題にも触れ、東京大に留学中の平成10年に中国に一時帰国して逮捕されたトフティ・テュニアズさんについて「彼の家族は日本にいる。無事釈放されることを希望する」と述べた。
胡主席はトフティ氏について「私は知らないので、しっかりした法執行が行われているかどうか調べる」と応じたが、チベット問題について言及はなかった。
「安倍氏の発言を受け、会場は気まずい雰囲気が漂った」と同記事は報じているが、まるで絵に描いたような記事ではないか。他の面々の渋い顔がそのまま見えるようだからだ。ただ、このトフティ・テュニアズ氏の件については解説が必要なように思う。実は安倍前首相は昨年秋以来、このウイグル人留学生のことを強く気にかけていたとされるからだ。加えて、先日の「真・保守政策研究会」主催のシンポジウムの会場で、このトフティ氏の奥さんから直接、涙ながらの陳情を受ける場面があり、これは自分のような立場の者が一肌脱がなければ、と改めて解決への決意を固めていたように思われるのだ。
トフティ氏が逮捕されたのは、中国の民族政策史を研究するために一事帰国した中国でその関係の資料を図書館で収集したことが問題にされてのこと。それが国家分裂扇動、及び国家機密漏洩というとんでもない重罪に問われたのだという。刑は11年の懲役。以後10年、氏は未だに獄中にある。
と同時に、残された奥さんと2人の子どもは日本に残され、この10年、言葉も充分に通じない異国の地で、女手一つで育てられることになった。生活費を稼ぐことと育児、そして長ずるに従っての教育。夫婦揃った日本人でも大変なのに、その苦労はいかばかりだったろう。だからといって中国に帰れば、どんな迫害にさらされるかわからない。在留延長のための度重なる役所での手続きも苦労の連続だったらしい。
ちなみに、このトフティ氏の刑期は来年2月で満了することになっている。常識的にいえば、これで晴れて氏は日本に帰り、11年ぶりに家族との再会・復学となるわけだ。しかし、懸念されるのは、中国政府が新たな難癖をつけて氏の釈放を延期したり、パスポートを発給しないケースだ。そうなれば、家族は依然として離されたままになる。そのためにも、日本政府が氏について、国家として「重大な関心」を表明することが必要だったといえる。少なくとも氏は、東大大学院に在籍中の学生であり、日本政府の保護下にあったわけだからだ(東大では今も在籍扱いにしているという)。
安倍前首相は在任中、「価値観外交」の推進を旗印に掲げた。それはもちろん、中国のみを対象にするものではなかったが、この国の人権状況に対する重大な懸念が関心の中心にあったことは間違いない。退任後、この価値観外交は福田内閣によって継承されず、むしろこの路線は放棄されたかの印象が強かった。とはいえ、安倍前首相はやはりそのままでは終わらさなかった。恥ずかしい「パンダ外交」で終わろうとしていた今回の胡錦濤訪日に、ようやく価値観外交による《貴重な一言》をつけ加えたのだ。
チベット問題もトフティ氏の問題も、実は解決のためにはこれからが勝負である。ただ、今回の発言によって価値観外交の《重い矢》が放たれたことだけは確かだ。これからへの期待も込めて、ここは高く評価したい。
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