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2007年9月 1日 (土)

懸命に頑張る現場に責任を押しつけるな

妊婦たらい回し また義務忘れた医師たち』(産経主張8/31)

産経主張(社説)は真っ当なことがおおいのですが、これはいただけません。内容はともかく、タイトルと結語は酷い。

『それにしても、痛みをこらえる患者をたらい回しにする行為は許されない。理由は「手術中」「ベッドがない」といろいろあるだろうが、患者を救うのが医師や病院の義務である。それを忘れてはならない。』

この感情論、気持ちはわかるけど、やはり無茶苦茶。手術中に他の患者を受け入れろ、というのは無茶では?今手術している患者は放置せよ、というわけでもないのでしょ?また、トリアージを適用して緊急性の低い患者のベッドを取り上げろ、とでも?

患者の命を救う、というのが医師の義務であることは当然です。しかし、物理的にできないものはできません。物理的に無理なのに受け入れたら破綻を来し患者の命に関わることになりますが、その責任は産経新聞さんが取ってくれるのでしょうか。

これは行政の問題です。緊急時の受入れ可能病院がすぐわかるシステム作り、そしてなにより産婦人科医を増やすために、現在明らかに楽な科(皮膚科など)の診療報酬を下げて産婦人科医の診療報酬を上げるなどの既得権に踏み込んだ対策、現場から離れた女性産婦人科医の復帰を促すための前例に囚われない思い切った対策など、なすべきことはすべて行うべき。

批判されるべきは現場の医師ではなく行政側。感情にまかせてこんな社説を書くと、ただでさえ無茶苦茶大変な目に遭っている産婦人科医のなり手がますますいなくなります。

(続きは記事の保存です、当面はリンク先をご覧下さい)

 次々と病院から受け入れを断られ、たらい回しにされた奈良県の妊娠中の女性が、救急車の中で死産した。奈良県では昨年8月にも、分娩(ぶんべん)中に意識不明となった妊婦が、19カ所の病院に転院を断られ、死亡している。悲劇が再び起きたことに死亡した妊婦の夫は「この1年間、何も改善されていない。妻の死は何だったのか」と怒りをあらわにする。その通りである。「教訓が生かされてない」と批判されても仕方がない。

 女性はようやく見つかった10カ所目の大阪府高槻市の病院に向かう途中、救急車内で破水し、その直後に救急車が軽ワゴン車と衝突した。

 事故後、消防隊員が連絡すると、病院側は「処置は難しい。緊急手術も入っている」と断った。その後、大阪府内の2病院にも断られ、困った消防隊員が再び要請すると、高槻市内の病院は受け入れをOKした。結局、病院にたどり着いたのは、119番から3時間もたっていた。

 奈良県では危険な状態にあるお産の周産期医療の搬送は、健康状態を把握しているその妊婦のかかりつけ病院が県内の2病院に連絡し、それぞれが受け入れ先を探す。この仕組みだと、比較的受け入れ先が見つかりやすい。

 しかし、死産した女性はかかりつけの医者がいなかった。このため、一般の搬送の手順で消防隊が受け入れ先を探した。これが時間のかかった理由のひとつだという。

 奈良県の幹部は「かかりつけ医のいない妊婦の搬送は想定外だった。すぐに対策をとりたい」と話すが、トラブルや事故は予期せぬ中で発生するのが常である。早急に抜本的対策をとる必要があろう。

 周産期医療を扱う病院は、全国的に減少している。産婦人科医は内科医などに比べ拘束時間が長く、訴訟も多いからだ。

 妊婦のたらい回しは、奈良県だけに限った問題ではない。厚労省は産科医などの医師不足対策に本腰を入れて取り組むべきである。

 それにしても、痛みをこらえる患者をたらい回しにする行為は許されない。理由は「手術中」「ベッドがない」といろいろあるだろうが、患者を救うのが医師や病院の義務である。それを忘れてはならない。

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コメント

10リットルまでの水しか入らないバケツには、11リットルの水は入りきれません。

1リットルの水がこぼれてしまった事で、周囲の人間が「なんだこのクソバケツ!」と足蹴にしたら、

バケツが凹んで、10リットル入れられたはずの物が、9リットルまでしか入らなくなりました。

…っていうのが、今の日本の医療崩壊(ていうか、マスコミによる医療破壊)の現状。

教訓とかそういう以前の問題。

…。
……。
………。

…マスコミの医療破壊は大成功ですね。
http://punigo.jugem.jp/?eid=500
http://punigo.jugem.jp/?eid=495
http://punigo.jugem.jp/?eid=491

投稿: 都筑てんが | 2008年12月25日 (木) 21時21分

都筑てんが様
まことに仰せの通り。産経の医療崩壊キャンペーンは酷いですね。

投稿: 練馬のんべ | 2008年12月25日 (木) 21時29分

 医療系の報酬の多さをやり玉に挙げて、叩きに叩いた挙げ句がこの始末でしょう、じゃあ、自分達マスコミ関係者が幾ら貰っているかと云えば、平均1500万/年収なんですから、その医療関係者も真っ青のレベルでしょう。

 確かに、昼夜も分かたず働いているのですし、上からの命令には逆らえないでしょう、仕事は体力的にも精神的にもキツイでしょうから、他人様より高い給料を貰っていてもオカシク無いと言う意識は持っても善いでしょう、しかし、自分達がやっていることの意味や影響力をモゥ一寸考えてからでないとイケマセン、自分達の報道や表現の一つ一つが、後々、社会が深刻な事態に成りかねない影響力を持っていると言う自覚を持って欲しい。

 余所に書きましたが、最近のマスコミの劣化は酷い、「金と暴力に弱いマスコミ」をおおっぴらに曝しまくって居る、麻生叩きなど全くのゴロツキの因縁でしかない、「ペンは剣よりも強し」を剣=自衛隊に見立てて、叩いてみせるあざとさは小学生並の知能を感じさせますね。

 基準や限度を忘れて感情的に何かを叩くのは、唯のリンチに過ぎないと言うことを忘れては、朝鮮人と同じですよ。

投稿: ナポレオン・ソロ | 2008年12月26日 (金) 06時12分

ナポレオン・ソロさま
仰せの通りですね。マスコミってほんとどうしょうもない…でも、そろそろ本格的にマスコミ崩壊の兆し、来年が楽しみですね。

投稿: 練馬のんべ | 2008年12月26日 (金) 06時37分

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