予想通りのイアンフ社説は読売・産経vs朝日・毎日
やはり予想通り今日8月1日の4紙社説はイアンフ問題。
『慰安婦決議 誤った歴史の独り歩きが心配だ』(読売社説)
『慰安婦決議 官民で事実誤認を正そう』(産経社説) 『慰安婦決議―首相談話でけじめを』(朝日社説) 『慰安婦決議 歴史認識の溝を埋める努力を』(毎日社説) 内容も予想通り、実にわかりやすいものでした。朝日と毎日は河野談話があるのだから謝れ、読売と産経は事実誤認を正せ、ということですね。 もちろんのんべは読売・産経連合?に与します。 最近アルツハイマーではないかと思うほど(「マスコミ的には」麻生大臣が言えば失言、真紀子が言えばOK)同じことを繰り返し書いているような気がしますが、とにかく安倍政権には、 河野談話を事実誤認として即刻破棄すること (すぎやまこういち氏の努力を受け継いで)アメリカの新聞に事実を伝える意見広告を何度も出すこと を行ってほしい。 (補記)今回の決議を行った本会議には10人程度(下院定数435人)しか出席していません。殆どの議員は既に興味を失っている中、相変わらず数人だけが火病に取り憑かれている構図です。 これは、すぎやまこういち氏の意見広告、そして博士の書簡活動で、他の議員が真実に目覚めたからでしょう。 すぎやま氏、博士に敬意を表します。 とはいえ、この決議で日本を叩ければカネが稼げる、という思いも棄てきれず、欠席による黙認という形を取ったものと思います。 安倍政権は河野談話破棄と広告継続に加えて何をすべきか。これは暴論かも知れませんが、日本の衆議院でも米国の占領時代のイアンフや、韓国軍のベトナムでのレイプを非難する決議、さらに中国の現在のチベット・法輪功弾圧を非難する決議を行ってはどうでしょうか。もちろん、日米同盟の重要性と戦後に果たしてきた役割への謝意の決議との組み合わせ。日中・日韓関係の重要性の決議もどうでもいいけど一応してもいいかな。 安倍首相は、もはや参院選を気にする必要がないのだから、堪忍袋の緒を切って自分の信念を押し通してしまうべきです。どうせ放って置いても民主小沢が手を突っ込んできますから、政界再編の先制攻撃を仕掛けてしまうべきでしょう。 (続きは記事の保存です、当面はリンク先をご覧下さい)
『慰安婦決議 官民で事実誤認を正そう』(産経)
慰安婦問題で日本政府に公式謝罪を求める決議が米下院本会議で可決された。拘束力はないが、日本の重要な同盟国である米国の議会で、日本非難の決議が出されたことは憂慮すべきである。
今回、安倍内閣はこの問題で相応の対応をとってきた。
安倍晋三首相は4月末の日米首脳会談で、慰安婦に対する深い同情の念を示し、ブッシュ大統領はこれを評価した。加藤良三駐米日本大使は下院の枢要メンバーに対し、慰安婦問題で日本を非難する決議が採択されれば、日米関係に長期の有害な影響を与えるだろうという趣旨の書簡を送った。
下院の民主党指導部は日本の政局への影響を考慮し、本会議での採決を参院選後に延ばしたと伝えられている。また、慰安婦決議とは別に、日本の対テロ戦への貢献を評価する決議が下院外交委員会で採択された。これらは日本の外交努力の一定の成果といえる。だが、それでも、本会議での採択は止められなかった。
決議は下院外交委員会での採択の段階で、「日米同盟はアジア地域の要」とする文言が加えられ、民主党のマイク・ホンダ議員が提出した当初の決議案より表現が緩やかになっていた。しかし、「慰安婦制度は日本政府が第二次大戦中に行った軍用の強制的な売春」と決めつけるなど、基本的な誤りは全く訂正されていない。
慰安婦が第二次大戦中に辛酸をなめたことは同情に値する事実だが、彼女らは主として民間業者によって集められ、日本政府が強制的に集めて売春を行わせたのではない。それは、日本政府が2年がかりで集めた200点を超える公的文書などが証明している。
慰安婦決議をめぐり、櫻井よしこ氏ら日本側識者が慰安婦問題に関する事実関係を論証した意見広告を米紙に掲載した。「かえって米議会の反発を招いた」という批判もあるが、国際社会で何も反論しないことは、誤った史実を認めたことになりかねない。
慰安婦決議の背後で、在米中国系団体が下院の外交委員長に圧力をかけていた事実も明らかになった。この団体は中国政府と密接なきずなを持ち、歴史問題で日本を非難している。
事実誤認を正すための官民の一層の努力が必要である。
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『慰安婦決議 誤った歴史の独り歩きが心配だ』(読売社説)
明らかな事実誤認に基づく決議である。決議に法的拘束力はないが、そのまま見過ごすことは出来ない。
米下院本会議は、いわゆる従軍慰安婦問題について、日本政府に対して公式な謝罪を求める決議を採択した。
決議は、旧日本軍が、アジア各地の若い女性たちを慰安婦として「強制的に性的奴隷化」したと非難している。
当然のことながら、日米同盟は、日本の国益上、きわめて重要な意味を持つ。日米両国は、軍事的、経済的に緊密な関係にあるだけでなく、民主主義、人権といった価値観も共有している。
しかし、事実誤認には、はっきりと反論しなければならない。誤った「歴史」が独り歩きを始めれば、日米関係の将来に禍根を残しかねない。
慰安婦問題では、1990年代初め、戦時勤労動員だった「女子挺身(ていしん)隊」が日本政府による“慰安婦狩り”制度だったとして、一部の新聞が全く事実に反する情報を振りまいた経緯がある。
さらに93年に発表された河野官房長官談話には、官憲によって慰安婦が「強制連行」されたかのような記述があり、国内外に誤解を広めた。
だが、慰安婦の強制連行を裏付ける資料は、存在しなかった。日本政府も、そのことは繰り返し明言している。
他方で日本国内にも、全体として「強制性」があったとする主張もある。しかも、「強制性」の具体的内容の説明をしないまま、米議会の決議を当然視するような論調を展開している。
決議は、「慰安婦制度は20世紀最大の人身売買の一つ」としている。
そうした“慰安”施設は、旧日本軍に特有のものではなかった。戦後、米占領軍は、日本の“慰安”施設を利用した。朝鮮戦争当時、韓国軍もその種の施設を持っていたことが、今日では明らかにされている。
第2次大戦中、ドイツ軍にも“慰安”施設があり、占領された地域の女性が組織的・強制的に徴集された。
なぜ、日本だけが非難決議の対象とされるのだろうか。
決議の背景には、提案者のマイケル・ホンダ民主党議員を全面的に支援する中国系の反日団体の活発な動きがあった。ドイツについては同様の運動団体がないせいだろう。もちろん、米軍の“道義的”責任を追及する団体はない。
民主党優位の米議会では、今回のような決議が今後再び採択されかねない。日本の外交当局は、米側の誤解を解く努力が、まだまだ足りない。
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『慰安婦決議―首相談話でけじめを』(朝日社説)
米下院本会議が、旧日本軍の慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議を採択した。決議は「残虐性と規模は前例がない。20世紀最悪の人身売買事件の一つ」とまで述べている。
日本政府は93年の河野洋平官房長官談話で、旧日本軍の関与を認め、謝罪した。それを受けて官民合同のアジア女性基金を設立し、元慰安婦に償い金と一緒に、首相名のおわびの手紙も渡している。米側がこうした取り組みを十分に評価していないのは、残念なことだ。
しかし、過去の日本をこれほど糾弾する決議が採択されたのは、日本の側にも原因がある。そのことを厳しく見つめなければならない。
河野談話は、様々な証言や証拠を吟味した結果、軍の関与を認めたうえで、慰安婦の募集や移送、管理などで全体として強制性があったと述べた。日本政府としての公式見解である。
ところがその後、一部の政治家やメディア、学者らから、河野談話を否定したり攻撃したりする発言が相次いだ。そうした勢力の中心メンバーの1人が、首相になる前の安倍氏だった。
米国内には、日本が戦前の価値観を引きずっているのではないか、という不安がある。小泉前首相の靖国参拝に対し、有力議員が日本の駐米大使に懸念を伝える書簡を送ったのは、その表れだ。安倍首相の登場は米国の警戒心を高めた。
首相になった安倍氏は「河野談話の継承」を表明した。ところが、当局が人さらいのように連行する「狭義の強制性」はなかった、などと言うものだから、決議の動きに弾みをつけてしまった。木を見て森を見ない抗弁だった。
さらに決定的だったのは、国会議員や首相の外交ブレーンらが反論広告をワシントン・ポスト紙に掲載したことだ。
今回の決議を採択した本会議で、民主党のラントス下院外交委員長は、こうした反論広告などについて、「歴史をゆがめ否定する日本の一部の試みには吐き気をもよおす」と述べた。
「価値観外交」を掲げる安倍首相は「日米は価値観を共有する同盟だ」というのが持論だ。自由や民主主義といった理念で共通していると強調する。
だが、こうした価値観を共有するためには、自由や人権を抑圧していた戦前の軍国主義を総括し、きっぱりと別れを告げる必要がある。
慰安婦問題で旧日本軍をことさらに弁護することは、自由や人権の抑圧を肯定するかのように受け取られてしまう。それはいま日米が共有するはずの価値観に反するということを、安倍首相らは知るべきだ。
決議は首相に謝罪を求めている。首相の沈黙は逆効果になるだけだ。河野談話の継承を疑われているのならば、同じような内容を安倍首相の談話として内外に表明してはどうか。それがいま取りうる最善の道だろう。
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『慰安婦決議 歴史認識の溝を埋める努力を』(毎日社説)
米下院本会議はいわゆる従軍慰安婦問題について「日本政府は歴史的な責任を公式に認め、謝罪すべきだ」という謝罪要求決議を採択した。日米関係に悪影響を及ぼさないよう両国政府の外交努力を促したい。
決議案はこれまでに4回提案され、本会議採択は初めてだ。日本政府は採択しないよう米議会に働きかけたが成功しなかった。決議の重要性が高まったのは、安倍晋三首相が3月、国会で「狭義の強制性」を否定した答弁により、日米双方の関心が一挙に強まったためだ。決議に拘束力はなく、日本を一方的に批判するような内容には疑問もあるが、米議会の人権問題に対する懸念の深さと日米の歴史認識のずれを示す形になった。
ブッシュ大統領が4月の日米首脳会談で「安倍首相の謝罪を受け入れる」と述べたのにもかかわらず、下院が同盟国日本へあえて要求をつきつけたのはなぜだろう。
最大の理由は、理念の国米国にとって価値観や人権は譲れない原則であり、慰安婦問題を過去の話とみていないという点だ。
決議を提案したホンダ下院議員は3月の演説で「慰安婦の経験は棚上げされてすむ歴史のエピソードではない。世界ではいまも女性の人権は守られていない。日本政府は戦時下の女性への暴力を排除する目標に踏み出すべきだ」と呼びかけた。スーダン・ダルフールの女性被害を引用しながら、現在の人権問題として解決を迫る論理だ。いまの日米は価値観を共有するはずなのに、という問題設定でもある。民主主義や自由を世界に広める使命を重視する米国で決議案阻止の動きは少なかった。
さらに、日本の反応が公式と非公式の姿勢、あるいは建前と本音の間で食い違っているように受け止められた。安倍首相は強制性発言と4月訪米時の「おわびの気持ち」発言の間で大きな揺れをみせた。本心がどちらなのか釈然としない米国人は多いだろう。
旧日本軍の関与を認め謝罪した93年の河野洋平官房長官談話をよりどころに「謝罪してきた」と説明するのが日本の立場だ。だが、軍の強制の証拠はないとして河野談話の見直しを主張する一部の政治家の発言は米国にも伝わっている。歴史修正主義と米国がみなす動きに対する警戒も出ている。
ラントス下院外交委員長が本会議で「ドイツは歴史の罪について正しい選択をした。一方、日本は歴史の記憶喪失を促進してきた。日本の一部にある歴史をゆがめ否定し、被害者を非難する動きには吐き気を催す」ときわめて強く批判したのもその表れだろう。
米国が主張する原爆投下正当化論への批判は日本に根強い。対テロ戦争やイラク戦争での人権侵害には国際法違反の指摘もある。「正しい歴史」を振りかざすだけでなく、みずからの過ちを振り返る謙虚さを米国には求めたい。
歴史認識のずれを埋める対話は米国ともアジア各国とも続ける必要がある。河野談話で示した謝罪と反省を、繰り返し丁寧に説明する努力を怠ってはならない。
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