花岡信昭氏の「金融制裁解除、認めていいのか」に賛成
<< 金融制裁解除、認めていいのか >>
米政府が北朝鮮への金融制裁解除に踏み切った。19日から始まる6カ国協議を前にした政治的配慮ということらしいが、日本の認識とは相当のズレがある。
北朝鮮をめぐる日米の協調体制にヒビが入ったといってもいい。であるのに、日本側の反応はあまりに甘すぎる。
安倍首相は日本の今後の対応について「影響はない」とし、塩崎官房長官は「急にいままでの流れが変わることはない」、麻生外相は「寧辺の核施設の停止の話などが進み始めるのなら、いい」。
もの分かりがよすぎるのではないか。ここは米当局の措置に対して、厳しい批判を行っておく局面だ。そうでなければ、日本の外交姿勢があなどられるだけである。
たしかに国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長が訪朝し、北朝鮮側から査察官受け入れの回答を得たというが、これが北側の真摯な態度のあらわれとは誰も思ってはいない。
そればかりか、北側は合意実行の条件として、金融制裁解除を強調したという。なにやら北側にあしらわれているような印象すら受ける。
とにかく、先の日朝作業部会で、拉致問題についてはまったく進展がなかったのである。北側は「拉致は解決済み」の一点張りだった。
であるにもかかわらず、米政府が金融制裁解除を決めたのは、はっきりいえば、日本に対する「背信」に映る。いったい日米間でどこまで詰めた協議が行われた上での判断なのか、そこがさっぱり分からない。
この状況はよくない。日本側に対米不信を募らせてしまう。「慰安婦」決議が大騒ぎになっていることとも絡めて、日米関係は一気におかしくなってしまうのではないか。
安倍首相でも麻生外相でもいい。米側に日本の懸念、怒りを伝えなくてはいけない。その段階を踏まえないと、日本はなし崩しに進むことを何でも受け入れる国、というメッセージを与えてしまう。
以下、この件に関する産経のネット配信記事。
【 政府、圧力を堅持 包囲網ほころびに懸念 米の対北金融制裁「解除」で
03/15 12:01
政府は、米国がマカオの銀行バンコ・デルタ・アジア(BDA)の北朝鮮関連口座凍結を解除する道を開いたことを受け、北朝鮮が核放棄に向けた具体的な措置に踏み切るか注視している。ただ、今回の措置で北朝鮮に対する国際的な圧力にほころびが出る懸念もある。政府は拉致問題解決への具体的な進展がない限り、北朝鮮側の制裁解除の要求には応じず、「対話と圧力」の方針を堅持する考えだ。
安倍晋三首相は15日昼、米国の措置について「米国の法執行の一環だろう。いずれにしても北朝鮮は核廃棄をしていかなければならない」と強調。日本の今後の対応については「影響はない」とした。首相官邸で記者団に述べた。
塩崎恭久官房長官も15日午前の記者会見で「(凍結解除は)マカオ当局が判断することだ。今回の措置で、急に今までの流れが変わることはない」との見方を示した。
麻生太郎外相は参院外交防衛委員会で「(米国が)譲った形になるが、朝鮮半島の非核化のために協議が動いた点は評価すべきものだ」と述べる一方、「少なくとも、寧辺の核施設の停止の話などが進み始めるのならいい」と北朝鮮側の対応を注視する考えを示した。
ただ、米国による金融制裁は北朝鮮を追い込む上で大きな効果があっただけに、今後、北朝鮮は「核カード」を武器に、さらなる譲歩を関係国に求めてくる可能性が高い。政府内からは「米国は北朝鮮の核問題より、イランの核問題ばかりを重視している」(官邸筋)と、日米の足並みの乱れを懸念する声も漏れる。
関係国に北朝鮮に対する軟化姿勢が広がった場合、核・ミサイル開発問題だけでなく、拉致問題を抱える日本は置き去りにされる恐れもある。麻生外相は参院外交防衛委で「最後に拉致の話が(6カ国協議の)俎上(そじょう)に上ってくると覚悟している」と述べた。
このため、日本政府はテロ支援国家の指定解除は拉致問題解決を条件とするよう、米国に求め続ける方針だ。首相は2月のチェイニー米副大統領との会談後、「米国も同盟国として当然、日本の立場を理解してくれている」と強調した。 】
--------------
バンコ・デルタ・アジアめぐり混迷 米の取引禁止に中国遺憾
【北京=有元隆志】ヒル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は16日、中国の武大偉外務次官と会談し、米財務省によるマカオ(中国の特別行政区)のバンコ・デルタ・アジア(BDA)と米金融機関との取引禁止決定に対し、中国政府が「強い遺憾」を表明したことについて、中国側の理解を求めた。
ヒル次官補は16日夜、記者団に対し、調査を担当したグレーザー財務次官補代理がマカオ当局に今回の決定を説明するとし、自らも17日に北朝鮮の金桂寛外務次官と会談し、この問題を取り上げる方針を示した。そのうえで、「数日のうちにBDAから別の問題に移るだろう」と述べ、この問題が6カ国協議の障害とはならないとの考えを強調した。
財務省はBDAで凍結されている2500万ドル(約29億3000万円)に上る北朝鮮関連口座の解除について、マカオ当局に一任することを決めた。米政府は一部の資金だけが解除されるとしているのに対し、北朝鮮は全額返還を求めており、マカオ当局の判断が注目されている。
マカオ当局は「問題の早期解決を図る」としているが、北朝鮮資金の扱いには言及していない。マカオは「1国2制度」の下で、高度の自治を保証されているものの、決定には中国政府の意向も反映されるとみられる。
一方、BDAの親会社にあたるデルタ・アジア・グループは16日、財務省の決定に「遺憾の意」を示し、「顧客によるマネーロンダリング(資金洗浄)を知っていたことはない」との声明を発表した。ロイター通信によると、区宗傑(スタンレー・アウ)会長はマカオでの記者会見で、財務省が2005年9月にBDAを「主要懸念先」に指定して以降、問題のある北朝鮮口座は閉鎖したと説明。米側が、新しい経営陣に移れば取引禁止見直しの可能性も示唆していることに関しては、売却の可能性を否定した。
アウ会長の父親が1935年に設立したBDAはマカオに8つの支店を持つ。「主要懸念先」に指定されたことで取り付け騒ぎが起き、新華社電によると、預金総額の10%が引き出された。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
風邪ですか?
東京では昨日か今日?に最も遅い初雪を観測したそうですね。
体調管理に気をつけて下さいね( ^^) _旦~~
投稿: ひろふみ | 2007年3月16日 (金) 23時27分
今回バンコ・デルタ・アジア(BDA)のマネーロンダリングが裏付けられたので、米財務省が米の金融機関がBDAと取引することを正式に禁止するかも知れません。さすればBDAは潰れる可能性が出てきましたので、北の資金がどれだけ戻るかは微妙と言ふ観測もあります。制裁解除はしたものの、結果北にはカネが戻らない、といふ具合ですから、ここはしばらく様子を見ませう。
以下、2ちゃんねるのコピペです。
12 :名前をあたえないでください :2007/03/15(木) 05:29:00 ID:YginIxR2
これまでの経緯
米 金融解除はする
北 当然ニダ
米 だが、マネーロンダリングしたから
今後BDAとは縁を切るから、そのつもりで
北 勝手にするニダ
BDA …それだと破産ですが何か。
北 ???
BDA アメリカと取引出来ないと破産しますから。
北 意味が解らないニダ。とりあえず預金をおろさせるニダ。
BDA 出来ません。
北 な、何を云ってるニダ??金融解除されたんだから口座はウリの自由に出きるはずニダ。
BDA 出来ません。破産したので全ての資産を一時凍結し整理資金にあてますから。
北 そんなはずは無いニダ。ウリの金を早く返すニダ。
BDA もちろん返しますよ。まぁ整理した後でお金が残ってたらですが。
北 日帝の陰謀ニダ~
投稿: 葦原屋(とよあしはら) | 2007年3月17日 (土) 00時10分
ご参考
http://www.sankei.co.jp/kokusai/korea/070317/kra070317000.htm
投稿: 葦原屋(とよあしはら) | 2007年3月17日 (土) 03時05分
ひろふみさん
ありがとうございます。やっと土日、一休みできそうです。
投稿: 練馬のんべ | 2007年3月17日 (土) 06時02分
とよあしはらさん
BDAを別の名目で潰して実質的には金融解除しない、(さらに中北の間に波風を立てよう)ということですか。なるほど、そういう面もありそうですね。参考になりました、ありがとうございました。
投稿: 練馬のんべ | 2007年3月17日 (土) 06時17分