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2007年1月22日 (月)

「九人の乙女 一瞬の夏」をこれから読みます

道民さんから「氷雪の門」に関して「伝えられている真岡郵便局事件はいささか事実と異なっている」旨のご指摘を頂き、川嶋康男著「九人の乙女は何故死んだか」をご紹介頂きました。まことにありがとうございました。的確なご指摘を頂いたバンヒさまにもお礼を申し上げます。

9ninnno_otome_1そこでその本の増補改訂版である「九人の乙女 一瞬の夏(終戦秘話)樺太・真岡郵便局電話交換手の自決」(川嶋康男著、響文社)を買いました。この本がどこまで真実に迫っているのか、など全く不明ですが、相当突っ込んで取材した様子、重要な参考資料と思います。

まだ読んでいませんが、読んだら本の紹介と読後感などを載せたいと思います。今回はまえがきのみ紹介したいと思います。

(以下引用)
まえがき
夏とはいえ真岡の朝を煙らす海霧は、心なしか冷やかだった。いつもなら静かな海岸が見渡せる郵便局の二階から、一片のメッセージが電話回線に乗った。
〈皆さんこれが最後です さようなら さようなら〉
 太平洋戦争が終結した五日後、昭和二十年八月二十日午前七時過ぎ、樺太・真岡町はソ連軍の急襲を受け、幾多の町民の命を巻添えにした。この惨禍を締めくくるような集団自決が、このメッセージの発信地、真岡郵便局電話交換室で起きた。
 戦後―――。
Hyousesunomon_2    海峡を隔て、かつての目本領「南樺太」を望む国境の街、北海道稚内市。この町の高台に建つ『九人の乙女の碑』には、ブレスト(交換手用の受話器)を頭につけた女性のレリーフが埋め込まれている。この碑に隣接して建つ樺太島民慰霊碑『氷雪の門』の前では、毎年この「八月二十日」に、稚内市と旧島民の団体等で、慰霊祭を行っている。
9ninnno_otome_no_hi  『九人の乙女の碑』にはこんな顛末が記されている。
〈―――八月二十日ソ連軍が樺太真岡上陸を開始しようとした その時突如日本軍との戦いが始まった 戦火と化した真岡の町 その中で交換台に向かった九人の乙女等は死を以って己の職場を守った 窓越しにみる砲弾のさく烈 刻々迫る身の危険 今はこれまでと死の交換台に向かい「皆さんこれが最後です さようなら さようなら」の言葉を残して静かに青酸苛里をのみ夢多き若き花の命を絶ち職に殉じた―――〉
 「戦後」という言葉そのものが、歴史のはざまで薄められていく今日も、この「九人の乙女」の悲劇は語り継がれている。樺太の「終戦」を象徴するといわれる反面、その勇姿が殉国美談化され、流行歌や映画にもなった。
 つまり、年若き乙女たちが決死の覚悟で電話交換業務を遂行し、女の誇りを守り抜くため、自ら命を絶った行為を「大和撫子」の鏡であるとして「殉国」へ昇華する構図である。

 ただ、、碑文の表現にもある〈死の交換台〉に向かい、冒頭のメッセージを伝えて、心静かに青酸カリを飲む行為が、あまりに劇的で、いさぎよすぎた。
 自決現場となった電話交換室や局舎内に、他の職員はいなかったのか。関係者の聞き込みを続けるうちに、意外な事実が明らかになった。元豊原逓信局工務部技手、阿部寅次郎(樺太逓友会事務局)によれば、
 〈八月十九日夜から二十日朝にかけて、真岡郵便局に残っていた電話交換手は十一人で、このうちの三人が、別棟にいた電信課員に救出されていた。これでは八人になってしまうが、あとの一人は、二十日朝に自宅から急を聞いて駆けつけ、集団自決に加わった―――〉
 というものであった。
 これまで発表された多くの記録では、生きていた「三人」についてはまったく触れられていない。彼女たちの証言を得た記録も残されていない。
 現場で生きのびた職員の存在は無視され、死の必然を正当化させるために「最後の交信」だけがことさら強調されている。

 電話交換手の集団自決を伝える報道は、事件当時の北海道新聞や樺太日日新聞等に見られず、引揚者たちの間に伝わっていたに過ぎなかった。
 昭和三十七年、北海タイムス紙上に載った「樺太」をテーマにした記事で、この自決の出来づ事が報道されるに及び、翌三十八年に具体化した慰霊碑建立の動きと併せて「九人の乙女」自決の顛末は、初めて全国に知れ渡ることになった。

 「生き残った」電話交換手と、生死の間をさ迷い生き抜いた電信課員の証言をもとに、電話交換室の「現場」を再現してみたところ、この「集団自決」の乙女像が、ある種の「意図」をもって作られ、今日に流布されていることに疑問を抱くこととなった。
 敗戦から四十四年。「昭和」が消えたのを機に、改めて「九人の乙女」の悲劇を問い直してみようと思う。
(文中敬称略)
一九八九年七月十日 川嶋 康男

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