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2006年12月 3日 (日)

少子化対策を労政面から考える

少子化白書が「少子・高齢化対策ホームページ」で発表されるのが待たれますが、新聞報道(『』内)を参考に少しコメントします。

表題『父親の時短、子育て支援や働き方改革提唱…少子化白書』(読売新聞より)

『若い世代が仕事と家庭の調和を実現し、子どもを産み育てやすい環境を作るため、「働き方の改革」を提唱。特に父親について、長時間労働が家事や育児への参加を制約しているとして、労働時間を短縮する必要性を指摘している。』

若い男性の長時間労働は困ったものです。彼女を作るヒマもない、結婚してもくたびれてその気にならない(?)、では少子化は進むばかり。
子供ができても子供の顔を見ることもなければ子供は父親を知らない、母親は孤立(悪化すれば育児ノイローゼ)、もちろん父親も悲惨…

少子化の観点を離れてマクロ経済的に見れば、企業は長時間労働させることで家計から消費能力を奪っているようなもの、個人消費の伸びが減速しているのはこんなところにも原因があります。ミクロ的には企業が社員をこき使うことで企業の短期的利益が上がるので、これがまさに合成の誤謬です。

そして、厚労省は労働時間の規制撤廃法制化などという暴挙を行おうとしています。既に批判した通りですが、少子化対策は全省庁共通の認識ではないのでしょうか、不思議です。

『白書は、少子化の現状について、05年に戦後初めて総人口が前年を下回り、日本が「人口減社会」に突入したことを踏まえ、今後も「人口減少は加速度的に進行していく」と警告した。』

その通りですが、いくら何でも警告して終わりではないはず。実際に読んでみないとわかりません。

『その上で、現状の働き方の問題点として、出産を機に7割の女性が退職し、子育てが一段落した後、再び働こうとしても以前と同じ条件で働くことが難しいと指摘。』

これも同断です。

これについてのんべが思うところを書きます。

まず、大前提は、いつも書くことですが、出産後数年は母親は子供のそばにいるのが望ましい、ということ。それが子供の権利です。塩崎官房長官の認識は真っ当と思っています。あと、人生は長いが、出産の定年は早い、ということ。

出産してもどうしても働きたい女性と、専業主婦になれるものならなりたい女性の両方がいるはずです。

前者は、在宅の短時間勤務ででもつながっておれば戻りやすいはずです。例えば、ネットがこれだけ発達した時代、Net利用の在宅短時間勤務+webカメラ利用の電子打合せ程度でもある程度の仕事はできるはず。
週1回程度の出社を組み合わせる、1/3程度の勤務時間なら3年で1年分の人事考課対象にする、など、運営上の工夫は考えないといけませんが、職場の状況がわかるし、キャリアもつながっているので戻りやすいでしょう。
こんなのは誰でも思いつく一般論にすぎませんが、現場にあった方法はなんらかあるはず。そういう道を減税措置
(あまり好ましくはないが、時限の助成金も考えられて良い)も織り交ぜて推進していくのも有効な手段でしょう。
このような形の短時間勤務推進は雇用も促進します。一種のワークシェアリングです。

後者には、これはダンナさんが酷い長時間労働をしなくてもちゃんと食える状況になれば専業主婦になれます。企業の競争力強化と称して社員いじめを黙認する政策の改善がなんとしても必要でしょう。

このような両面からの対策をすすめていけば、保育所の待機児童の問題なども解消するはずです。

PS.今月の内閣府による少子化問題の意見募集は以下の2つ。

【テーマ1】 保育所の利用について
「待機児童ゼロ作戦」の推進により、待機児童は3年連続して減少しているものの、依然として約1万9,800人の待機児童が存在します。また、本年10月からは、就学前の子どもに教育・保育を一体的に提供し、地域における子育て支援も行う「認定こども園」の制度も実施されています。

【テーマ2】 企業における子育て支援制度について
企業における子育て支援制度としては、育児休業や看護休暇、短時間勤務、所定外労働の免除、事業所内託児施設の設置、育児休業者の代替要員の確保等があります。政府としては、助成金の支給等により両立支援に積極的に取り組む事業主を支援したり、職場の意識改革を促す国民運動等を推進しています。

これは別のテーマではなく、共通の問題です。私は今書いたような意見を投稿するつもりです。

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コメント

正社員→出産→長期育休→パート→正社員という社員にとって働きやすい勤務時間の選択が可能であるといいんですけど、日本の会社だといったんパートになるともう二度と正社員になれないというところが多いですね。

投稿: とよあしはら | 2006年12月 3日 (日) 00時23分

とよあしはらさん
その通りと思います。最近、少しずつ変わっている会社はありますが。
もっとも、社員のためというわけではなく、バブル崩壊後、極度に採用をへらし続けたため、女性を活用する必要が出てきた、という意味が強いようです。あと、社会へのPR、らしい。

投稿: 練馬のんべ | 2006年12月 3日 (日) 07時33分

初めてこのブログを見させていただきました。
今回のテーマについて私なりに思うところがありますが、書いて宜しいでしょうか?
(多少管理人様と意見が相違しますが)。

投稿: 憲史朗 | 2006年12月 3日 (日) 08時48分

"( ´ ▽ ` )ノ"ちわぁ

コメントありがとうございます^^

この問題は日本が自分で悪くしていると思う・・・
まずはやっぱりプレママたちが安心して産める環境(保育所、治安、財政・・・etc)
沢山の問題を抱えている日本 (+。+)

さらには、育児休業や看護休暇といった保障でさえ、会社を休むといったことをすることで上司からの冷たい目線・・・育児休業や看護休暇は使えるものの止む終えなく退職・・・

これでは安心して産もう!とも思えないし、日本の芯から改善していかないと、また第三次ベビーブームが来たとしても一時的なものであって、すぐに出生率はガクリ↓↓ でしょうねぇ・・・

投稿: 陽炎 | 2006年12月 3日 (日) 09時32分

憲史朗さま
建設的なご意見の表明は批判的なものでも歓迎いたします。単に「馬鹿」とか言われるのは困りますが…。

投稿: 練馬のんべ | 2006年12月 3日 (日) 09時51分

陽炎さま
そうですねえ。なかなか困ったもんです。企業が短期的利益を図るのは仕方ないけど、残業代を払うというルールの無視が当たり前になると、どうしても矛盾が出てきます。

投稿: 練馬のんべ | 2006年12月 3日 (日) 10時03分

私は荒らし屋じゃないですよ。

色んなブログやサイトでこのテーマが取り上げられていますね。
私なりの意見としては「働いている人の中には経済的に裕福でないケースも多い。それ故、労働時間を削れば自ずと経済的に困窮しかねない家庭も出て来るのでは?」。

私の身の回りには経済的に裕福で無い人も多いです(何故かしら多い?)。
中には夫婦揃って働いているケースも少なくありません。
かと言って、企業側に「おい、時給上げろや!」とも簡単に言えません(企業側の事情もありますから)。

また仕事をしていると、何故かしら残業をしたがる人もいます。
中には「家に帰ってもする事が無いから」と答える人まで(所謂仕事中毒者?)。

ワークシェアリングも良いと思いますが、在宅で仕事を出来る環境を整えるのも重要ですね。
今私はうつ病を患っており、休職中です。
在宅での仕事の幅が広がると、私の様な人間でも「暫くの間は在宅で仕事をし、体調を観察しながら外へ出て働いてみよう!」と希望を持って生きることが出来ます。

働き過ぎて過労死・・なんて事にならぬようにして欲しいですね。

(余談)
仕事中毒にならぬよう、趣味を見つける事も必要じゃないでしょうか?
パートナー、家族と同じ趣味でも良いですし、自分だけの趣味でも良いですし・・・

駄文ですみませんでした

あと、現在ネットを騒がせている「週刊新潮が報じた『週刊金曜日の愚かな芝居』」もテーマにしてみては如何でしょうか?

投稿: 憲史朗 | 2006年12月 3日 (日) 10時54分

憲史朗さま
失礼しました。節度あるご意見は大歓迎です。
鬱病で休職中とのこと、お大事になさってください。私も経験あり、軽度でしたがそれでも数ヶ月休職状態でした。
ご意見はまことにもっともです。残業代なしに生活できないことも多いでしょうし、夫婦共働きでないと苦しい人も多いと思います。
企業がそのような人使いの仕方をしていると結局企業自身の首を絞めることになる、というのが私の主張です。書生論に過ぎず、近くに信じられないような価格で生産できる国がある限り難しいことはわかっていますが…しかし、せめてブログでくらいそのような主張をしていたいと思います。
週刊金曜日、すごいですね、私も週刊新潮を買ってきましたが呆然としました。あまりに呆れているうちに、博士さん他の友好ブログでもいろいろ糾弾記事がでてきたのでおまかせしている次第です。

投稿: 練馬のんべ | 2006年12月 3日 (日) 12時33分

とにかく少子化の一番ネックになっている部分がまさにこの「若い世代の長時間労働」が始まりのように思いますね。それにさまざまな価値観、たとえば女性のキャリア思考など、さらに企業の意識改革の欠如などがあげられると思います。私は少子化の原因は家庭の所得や税制面が改善されないことだと、以前に申し上げたかと思いますが、そればかりではないように思うようになりました。私も結婚適齢期となり、それなりの心の準備もしてはいますが、やはり企業の労働条件の改善は急務のように思います。女性にとっては結婚出産を経て再復帰できるような環境作りは絶対必要だと思うし、専業主婦になる人への偏見も改めていかなければならないと思いますし、また男性も積極的に育児に参加できるような環境を作ったり、給料面での育児に対する優遇税制などを積極的に考えていかなければいけないのではないかと思います。復党問題でいつまでもごたごたの茶番劇をやっている場合ではないと思います。

投稿: かついち | 2006年12月 3日 (日) 14時02分

かついちさん
そうですね。仰せのご意見にはほぼ賛成です。

投稿: 練馬のんべ | 2006年12月 3日 (日) 15時07分

少子化を解消する働き方については、練馬のんべさんのご意見に賛成です。
そして、もう一つ少子化が進んでいるのは、教育の問題じゃないかと思います。昔は日本が今ほど裕福で無かったのになぜ子だくさんだったのだろう?と考えたとき、教育費が一番違うのではないかと思いました。
公教育が当てにならないから私学に通わせる。その為に塾に行く。中卒や高卒での就職が難しくなり、皆が大学に行く。これじゃあ教育費がかかるから、子供の数が少なくなって当たり前です。公教育の立て直しをして、また、昔のように中卒や高卒は決して落ちこぼれではなく、早くに社会に出たい人、勉強よりやりたい仕事や専門知識を早くに習得したい人などが、誇りを持って早くに働き始められるようになるといいと思います。
(このように考えるきっかけとなった本の記事をTBしますね。)

投稿: milesta | 2006年12月 4日 (月) 08時05分

milestaさん
教育費の問題は無茶苦茶でかいですねえ。うちでは子供3人、これでみんな私立に行かれたら破産しかねないので限度です。
親の立場では、子供を大学に行かせたほうが無難で潰しが利くのかな、というのが正直なところ。本当のところはどうなのかわかりませんが…
どうせなら理科系に行かせたいですね。私は理科系に行こうと思いながら文科系が無難か…と安易に流れてしまったので…。
いずれにせよ、まだ小学生~幼稚園なので、これからが大変です。

投稿: 練馬のんべ | 2006年12月 4日 (月) 20時51分

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