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2006年11月13日 (月)

高校日本史の山川教科書批判(その5)

今回は中世後半。『第5章 武家社会の成長』です。

第5章は
1.室町幕府の成立
2.幕府の衰退と庶民の台頭
3.室町文化
4.戦国大名の登場

これは問題がいろいろありました。

Nawajinja まず、個人的なこだわりですが、第1節で、後醍醐天皇が流された隠岐から一人で脱出したような記述になっています。伯耆の名和長年公が大いに働いたことを書かれていないのは残念至極。(写真は名和神社、旧別格官幣社)

第2節、「庶民の台頭」ってなんのことだ?と思って見たらやはり、一揆史観とでもいうべきもの。山城国一揆で8年の自治を始め3ページ半も費やしています。これってマルクス史観に染まった見方としか思えません。明成社は半ページくらいでした。

そして問題の倭寇の記述。
『南北朝の動乱のころ、対馬・壱岐・肥前松浦地方の住民を中心とする海賊集団が、朝鮮半島や中国大陸の沿岸を襲い、倭寇とよばれて恐れられていた。』

なんで倭寇が生まれたのか、そもそも倭寇という呼び方が日本側からは正しいのか、これではわかりません。

この言葉、シナ朝鮮からみた言葉。当時、貿易商と海賊の区別などはっきりしません。貿易を規制されると海賊になるのは当たり前です。戦前は「八幡船(はばんせん)」として海外雄飛の物語として語られていたそうです。明成社の教科書には戦国時代以降「はばん船」(ひらがなが残念)と呼ばれた旨がわずかに記載されています。ただ、やはり倭寇の登場の仕方はやや唐突。

私が使っていた山川が一番わかりやすい。
『元寇後、日本と元との間には正式の国交はなかったが、貿易・交通はさかんであった。足利尊氏も天竜寺船を元に送り、九州や瀬戸内海沿岸の土豪達もしきりに渡海して貿易に従事していた。しかしかれらの一部は、貿易が不調になると中国・朝鮮側から倭寇と呼ばれた海賊になり、武装商人団として中国大陸や朝鮮半島の沿岸を荒らし回るようになった。』

ついでながら、倭寇は前期と後期にわかれ、後期はシナ人が大部分を占めていた旨は書かれていますが、だったら「倭寇」と呼ばれるのはおかしいですね。後期倭寇といえば、チャングムの誓いの時代で、三浦の乱のときの朝鮮国王が中宗です。放送では倭寇は貴重な倭国の胡椒(琉球貿易で手に入れたもの)などを密貿易する日本人武装集団(鎧甲で武装!)として描かれていましたが、実態はシナ人や朝鮮人だったわけです。

外交関係では、勘合貿易の話は、いずれも足利義満(当時将軍は義持)が「日本国王臣源道義」と称して朝貢形式を取ったことは記載されていますが、4代義持がやめたときの理由が微妙に違います。

現在の山川
『朝貢形式に反対』
明成社
『遣隋使以来つづいてきた自主外交の伝統を破るものと批判』
昔の山川
『日本の恥辱であるという意見にしたがって』

私は「日本の恥辱」とはっきり書いている昔の山川が好きです。明成社もいいことが書いてありますが、恥辱の一言は入れてほしいですね。現在の山川はつまらん。

室町文化はまあまあです。8ページと多い。

戦国大名のところは薄いけど、どうせ読まなくっても歴史ファンなら誰でも知っているのだから、まあどうでもよろしい。

どうも、倭寇や貿易に対する記述は以前より反日的になり、マルクスの好きそうな一揆も大好きなようです。困ったもんだ…

次回はやっと近世。鎖国下の幕藩体制の話なら、反日の登場する余地は少なそうですが、どうなんでしょうか…

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コメント

明成社も本当はもっと書きたいことはあったのでしょうが
検定があるからトーンダウンしてしまったのでしょうね。

http://www.linkclub.or.jp/~teppei-y/tawara%20HP/2002.5.31/1.html

投稿: ことだま | 2006年11月13日 (月) 19時42分

ことだまさん
ははは、確かに「堂々たる八幡船はシナ朝鮮の悪党共を服属させた」とも書けないでしょうね(苦笑)
URLを記載頂いた「子供と教科書全国ネット21」は真っ赤っかな反日団体として知られていますね、ここにこれだけ罵倒されているのだから真っ当な教科書です(笑)

投稿: 練馬のんべ | 2006年11月13日 (月) 20時49分

>山城国一揆で8年の自治を始め3ページ半も費やしています。これってマルクス史観に染まった見方としか思えません。

ご存知かもしれませんが、日教組による教科書採点表を掲載しましたのでご覧ください。(TB打たせていただきました)

投稿: とよあしはら | 2006年11月13日 (月) 21時17分

とよあしはらさん
これ、素晴らしい。こんなのがあるのですね。結構良くできていませんか?これで点が低いほどまともな教科書です(大笑)

投稿: 練馬のんべ | 2006年11月13日 (月) 21時25分

最初に見たときは正直わが目を疑いました。真剣にこんなキチガイじみたことをやるのが日教組なんだと驚きました(笑)。

採点表は中学校用だと思うのですが、一揆一揆と目立つのなら高校用にも日高教が同じようなものを作ってると思います。

投稿: とよあしはら | 2006年11月13日 (月) 22時40分

とよあしはらさん
歴史を現代のサヨクの価値観で見ようとするのは勝手だけどそれを教育現場に持ち込むわけですから迷惑ですよねえ。
それにしても、あの表、すごいですね。きっと高校用もあるのでしょう。

投稿: 練馬のんべ | 2006年11月13日 (月) 22時59分

Trip@World-Okinawaさまから意表のTBをいただきました。ありがとうございます。今回の記事中には琉球貿易の話を出しましたが、山川教科書のこの章にはほかに中山王尚巴志が琉球王国を作り上げた話が載っています。昔に比べると琉球は多く取り上げられています。

投稿: 練馬のんべ | 2006年11月14日 (火) 13時26分

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