高校日本史の山川教科書批判(その10)
次は「第9章 近代国家の成立」の
5.近代産業の発展
6.近代文化の発達
を取り上げます。やっと明治が終わります。
5.近代産業の発展
きっと女工哀史がわんさか出てくるかな、と思ったらドンピシャ。明治33年、工場労働者数39万、うち繊維産業が24万人でその88%が女性、女工哀史を隠して数字だけジェンダーフリーおばさん方に聞かせたら驚喜しそうです。
社会運動もわんさか。こういうのお好きなようで、明成社版の扱いにくらべるとやはり多いすね。この時代の社会運動関係は、私はよう知りませんのでこれくらい。
6.近代文化の発達
この辺はまあまあちゃんと書いているのでは、という感想ですが、教育勅語は…まあ山川ならこんなもんでしょうねえ。
『教育政策はしだいに国家主義重視の方向へ…教育勅語によって、忠君愛国が学校教育の基本であることが強調…教育に対する国家の統制が強まった。』
これに対し、明成社版のは、別の意味ですごい。正しいけど、ここまで書くか…
『教育勅語…これは、伝統的な国家観と人倫道徳を融合した国民道徳の表明であって、忠孝・博愛・修学・遵法・義勇奉公などの教えを、天皇みずから国民とともに実践しようとする念願が示されていた。教育勅語は、その後の国民精神の形成に寄与し、また英・独・仏・中の各国語に翻訳されて海外にひろく紹介された。』
明成社版は神道の話のところで東京招魂社(靖國神社の前身)の写真も載っていますし、コラムでは「国旗・国歌の由来」。祝祭日の変遷で明治時代の祝日一覧(年始(1/1)、元始祭(1/3)、新年宴会(1/5)、孝明天皇祭(1/30)、紀元節(2/11)、春季皇霊祭(春分)、神武天皇祭(4/3)、秋季皇霊祭(秋分)、神嘗祭(10/17)、天長節(11/3)、新嘗祭(11/23))まで載っている。これって「教科書に載らない日本史」なんていう本に載りそうなくらいです。どっちも検定を通っているってのがすごい。どうやって入試をするのか不思議になります。
今日はこれくらいにします。
次回から第10章「近代日本とアジア」、表題を見るだけで頭が痛くなりますが、この章は大正から敗戦まで、長い章なので2~3回に分ける予定です。
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