労働時間撤廃、厚労省案は本家アメリカの制度とは似ても似つかぬもの
本ブログでは先日の記事「家族の崩壊を促進する労働時間規制撤廃には断固反対」で厚生労働省の導入しようとしている「ホワイトカラーエグゼンプション」を厳しく批判しました。
その件で、村上龍氏のメルマガJMM、冷泉彰彦氏の『from 911/USAレポート』の「アメリカの制度をマネするな」は非常に参考になりました。
日本版はご本家たるアメリカの制度とは似ても似つかぬもののようです。アメリカの制度なら、なるほど納得できないこともありません。日本版は、やはりただ働きの合法化に過ぎません。断固反対の声を上げていきたいと思います。
アメリカの制度を紹介した部分を一部引用します。
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「ホワイトカラーエグゼンプション」(自律的労働制度)の問題…政府ならびに日本経団連は、恐らくは半ば意図的にアメリカの実態を歪曲して伝えているからです。
第一点は、アメリカでのこの制度は「管理職・基幹事務職・専門職」への「残業手当の適用除外」を定義したものであって、「ホワイトカラー・エグゼンプション」とはいっても、全てのホワイトカラーが対象ではない…管理職・基幹事務職・専門職の必要要件…「二人以上の部下に関する、採用権限を含む管理監督」を行っているかどうかがポイント
第二点は、この「要件」を受けて「エグゼンプト」の労働市場というものが確立…基本的にはMBA(経営学修士)を取っての初任給はやはり6万から7万(ドル)…
第三は、アメリカの労働省のガイドラインにもあるように「専門的な教育を受けた」という事実などの客観的な根拠…管理職にはMBA、経理専門職にはCPA(公認会計士資格)、法務部門の管理職にはバー(司法試験)など…
第四は、「エグゼンプトでない」つまり日本流に言うと「一般職社員」の労働市場が確立…「まずほとんど残業をしない」し「出張も命じない」…組合と法律によって厳しく保護されており、本人の同意なく残業を強制することも不可能
日本の場合は、アメリカで厳格に運用されている「要件」について、そもそも確認のしようがありません。…
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この制度を、年収400万のヒラリーマンに当て嵌めよう、っていうんですからね。国家的犯罪と言うべきです。経団連もふざけるな!
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コメント
このコラムは私も共感を持って読みました。
年収400万円の日本のサラリーマンは実質的に何の裁量権もありません。これで残業代という最期の砦を奪われたら本当にただの「社畜」(少し古いか)です。
こうした議論、指摘がなぜ大マスコミから出てこないのでしょうか。所詮彼らも同じ穴の狢?
投稿: 三四郎 | 2006年11月27日 (月) 22時11分
三四郎さん
今日の産経新聞社説は(マイナス面さえクリアできればの前提こそ付いているが)厚労省案に好意的でしたね。本質を見誤った議論であるのは明らかです。マスコミさんはお給料高いから…
投稿: 練馬のんべ | 2006年11月27日 (月) 22時25分