敬語の分類を増やすなどとんでもない
『敬語、「美化語」など加え5分類に 謙譲語は2分割』(産経新聞より)
『文化審議会国語分科会の敬語小委員会は2日、一般的に「尊敬・謙譲・丁寧」と3分類されている敬語の分類法を5分類にする指針案をまとめた。3分類では丁寧語とされた「お料理」など上品さを表すための言葉は「美化語」として分類し区別。謙譲語は性質により2種類に分割する。
美化語は、「です、ます」などとともに丁寧語の一種とされるが、既に独立した種類として扱い「4分類」としている学校教科書もある。新たな指針は敬語の性質を厳密に分類することで、使い方の混乱を防ぐのが狙い。しかし、複雑な分類でさらに混乱を招く恐れもあり、教育内容などに定着するかどうかは不透明だ。
指針案では、聞き手に上品な印象を与えるために使われる「お酒」「お化粧」などの言葉を美化語として丁寧語と区別。謙譲語については、(1)「伺う」「申し上げる」など動作の対象となる相手への敬意を表す「謙譲語I」(2)「申す」のように自分の動作などを丁重に表現する「謙譲語II(丁重語)」―に分けている。』
ややこしい。私は反対です。相手への敬意を表す「謙譲語I」と自分の動作などを丁重に表現する「謙譲語II(丁重語)」に分けるなど意味ありません。「謙譲語II」を使うときは相手を想定しているはず。独り言で「私は酔っぱらっていると申した」とは言わないでしょう。
みなさまご存じの通り、日本語の敬語は相対敬語。本人、相手、仮想の相手、さらには第三者を含めた建前の立場を考えながら使うわけです。真っ当な会社の役職員は(役員でも新入社員でも)、ただ迷惑なだけの零細会社の傲慢な奴から電話がかかってきたら、「挑戦甚眠会社様の症群様でいらっしゃいますか。いつもお世話になっております。社長の亜部も、常々御社には家族ぐるみでまことにお世話になっており足を向けては眠れません、と申しておりました。」などと心にもない敬意を表しながら話します。
教育現場では、分類をややこしくして混乱させるより、想像力を働かせながら話す練習をさせるべきではないでしょうか。もっとも、国旗国歌より自分の思想の方がずっと偉い、つまり常に自分が一番偉いと思っていらっしゃるセンセイ方は、絶対敬語しか教えられないかも?!
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コメント
敬語の種類を増やすことよりまず敬語の基礎を教えてくれという話です。私も増やすのは余計混乱すると思うので止めた方がいい。それこそ、小学5年生から英語を必修化するのと同じ論理です。敬語の基礎も応用もできないうちに覚えることを増やしてどうするんだろうな・・・。
投稿: かついち | 2006年10月 5日 (木) 08時13分
かついちさま
まさに。心配なのは、ちゃんと敬語を教えられない先生が結構いるのではないかということ。あと、敬語表現は地方によって微妙に異なる...例えば、電話で「○○さんおられますか?」と言ったら私は違和感を感じるけど、関西では普通に使われるらしいので、一概にまちがいといえないなど、何を持って正しいとするか、異論が続出しそうです。
投稿: 練馬のんべ | 2006年10月 5日 (木) 18時07分
「おられますか」は過剰な敬語表現に入るのでしょうか。私も違和感があります。普通は「いらっしゃいますか」だと思いますね。
こんな風に人によってもまたは地方によっても全然違うようなので、統一した敬語基準を設けると言っても難しいかも知れません。平安の時代から見れば全然違った意味になってしまっている言葉もあるくらいですから、今は非常識だと思っていても、長い年月を経てそれが当たり前になってくるものなのかもしれませんね。
投稿: かついち | 2006年10月 6日 (金) 10時46分
かついちさま
おる=居る、は謙譲語と私は理解しているので、謙譲語に尊敬の「られ」を付けることに違和感を抱いているわけです。「天皇が申される」と言う感じ。でも、居る=謙譲語の理解は全国一律ではないらしいです。
投稿: 練馬のんべ | 2006年10月 6日 (金) 21時51分