« 必ず助け出すという思いを共有していきます | トップページ | 男尊女卑論の対立点整理 »

2006年9月18日 (月)

天皇家男系伝統を、呼称と敬語から考察

先日、satou_dsaku様から以下のようなご意見を頂きました。
---------
日本語では、「おじいさん」「おばあさん」「おじさん」「おばさん」「おい」「めい」「いとこ」などの親族の名前に、男系女系の区別はない。英語などのヨーロッパの言語でも、親族の名前に男系女系の区別はない。
しかし、支那語、朝鮮語では、親族の名前は男系と女系とでは別の単語で表わされ、はっきり区別されている。支那朝鮮の人間は、日本人から「この人は私のいとこです」と紹介されると、男系か女系か分からず漠然としていて、道に迷ったような不安感を感じるらしい。
支那朝鮮には、宗族という男系血族集団があり、族譜という家系図を作っている。異性不養という原則があり、子供が女子だけの場合は、日本のように婿養子をとることはなく、娘は嫁に出してしまい、同じ宗族の中の男子を跡継ぎにする。男系死守論者の言い方では、Y染色体を先祖代々守っているわけだ。
日本人にとっては、男系でも女系でも先祖であり子孫である。支那朝鮮では、男系だけが一族の先祖、子孫であり、女系はない。支那朝鮮の人間にとっては、男系がとぎれるのは、一族の滅亡である。
天皇の男系制も、この中国や韓国の制度と同じようなものだろう。古代日本が支那から漢字や仏教など文明を取り入れたときに、天皇の権威付けのために男系制も取り入れたのだろう。
男系死守論者は、「マスコミが女性天皇と女系天皇の違いをはっきりさせず、無知な大衆をだまして間違った方向に進めようとしている」というが、もともと日本の文化というものは、男系と女系の区別がないから、そうなっているのだ。支那朝鮮の人間なら、男系と女系の区別は当然のことで、言われるまでもないことだ。
言語学的にみて、男系女系の区別をしないことこそが日本文明であり、区別するのが支那朝鮮であるのは明らかだ。
---------


それに対して私は

---------
面白いご意見ですね。参考になります。
シナ・朝鮮では嫁は家の系譜に入れないし…従って旧姓のまま、夫婦別姓で進んでいる、と言う人もいるやに聞きますが、儒教原理主義による男尊女卑…娘では自分が死んだとき供養してもらえない(供養にならない)。シナ・朝鮮の原理は男系そのものです。
また、シナ語では日本語で言う「いとこ」は8種類でしたか?例えば父親の姉の子、妹の子、兄の子、弟の子、母親の姉の子…という具合に言葉が違うやに聞いています(私はシナ語は一切わからないので伝聞にすぎませんが)。
日本語でもその伝統がかすかにあって叔父、伯父は一応かき分けますが全然意識しませんね。みんな「おじさん」「いとこ」。嫁に出した娘の孫は「そとまご」、婿を迎えた娘の孫は「うちまご」。全然差がない。
反論は、折角ですからそのうちひとつの記事にしてみたいと思います。言語学はあまり知らないので大した記事にはなりませんが…本当は、びーちぇさんから頂いたTB「伝統 古代の治世」を読んで頂くのが一番ですが、私なりの浅はかな考えを出してみるのも面白いかと。今晩は寝ます、おやすみなさい。
---------

と書いたっきりですので、続きを。
言語学は決して詳しい分野ではないので、自信はありませんが、日本語で以下のことは事実です。

1.目上の親類縁者を呼ぶ言葉は、他人を呼ぶことにも使う。
「おじさん」「おにいさん」「ママ」「おばあちゃん」など、元々は親類縁者を示す言葉のはずなのだが、他人に対してもごく普通に使う。

2.他人と話すとき、敬語は相手を基点とした使い方をする。
例えば、子供が友達と話すときにうちのおかあさんと呼ぶと間違え扱いされる。うちの母は、でないといけない。新入社員でも、お客さんからの電話を社長に取り次ぐときは「社長の小泉ですね、お待ち下さい」などと呼び捨てにするし、社長の話を伝えるなら「小泉は靖國に行くと申しておりました」と謙譲語を使う。もちろん、社長に対して「おい、小泉」などと呼び捨てにすることはできない。

3.天皇陛下、皇族方に対しては国内では絶対敬語を使う
例えば宮内庁職員が首相に話すとき、「陛下は靖國にこれから行幸する、と仰せになっていらっしゃいました」などと尊敬語を使う。間違っても「陛下が靖國に行幸すると申しておりました」などとは使わない。

1は、日本がみずほの国であることに由来すると思っています。田んぼ仕事は家族総出はもちろん、同じむらの人と協力しないとなかなかできないもの。だから少し目上の人は他人でも「おにいさん」になります。どこかの家の田んぼが荒れるとまわりも迷惑する。そこで子供がいなければ養子を取って継がせる、という文化が生まれてきたのでは、と思います。天皇陛下の祭祀の中で、稲作に関することは非常に重要です。

2は常に相手を尊重することを示します。一般の日本人同士は平等なんですね。

しかしながら、3は天皇陛下・皇族は庶民とは違って敬語の用法としては常に一番上にいることになります。

日本は天皇陛下を家長とする家族、と私はブログの小見出しで主張しています。絶対敬語と相対敬語を考えればその主張も成り立つはずです。

家長たる天皇家は日本の大黒柱、そこは男系でつなぐ必要があるが、日本という家の中にいる一般の家は限りは男系も女系もない。極論すれば血がつながらない養子でもよい。日本の伝統とはそんなところでないか、と思います。

先日、幕府も男系、と書きましたが、武士の集団は、幕府が柱で他は幕藩体制(など)に組み込まれている以上、やはり他の大名以下の家は男系女系は問題にならなかった、ということなのでしょう。

なお、天皇を家長とする家族、ということは、最近の親王殿下のご誕生でも思い知らされました。赤ちゃんが生まれて心から喜ぶのは家族ですから。

|

« 必ず助け出すという思いを共有していきます | トップページ | 男尊女卑論の対立点整理 »

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 天皇家男系伝統を、呼称と敬語から考察:

« 必ず助け出すという思いを共有していきます | トップページ | 男尊女卑論の対立点整理 »