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2006年6月 3日 (土)

本歌取り、模作、贋作、盗作

芸術選奨受章の和田義彦氏が盗作をしたという疑惑が各マスコミで報じられています。本人は「全く別のもの」を描いている、と言っていますが、うちの子供はふたつの絵を並べたテレビの画像を見て一言「間違え探しだ」。子供は騙せません。

我が日本には昔から「本歌取り」という伝統があります。先輩の有名な作品に、自分の独創を加えて全く別の世界を演出すること。和歌だけでなく、陶芸などでも普通です。盗作とは何が違うか、というと、

1.作者が本歌取りを行う前提として、鑑賞者が本歌を知っていること
2.作者が本歌に対する敬意を込めて作ること
3.本歌とは違う世界が表現されていること
4.同時代人の作品は極力本歌としないこと

などです。4は著作権法のある現代だから言うのではなく、定家の時代からの常識、4でないと通常1にならないからでしょうね。今回の盗作さわぎはいずれの項目にもあてはまらないのは明らかです。本人は3だと主張していますが、とてもそうは見えないし、仮にその主張が正しくても×です。

それとも、古人の作品に敬意を表した練習作の「模作」、もしくは有名な作品の気分で気軽に使うための「写し」とでも言うのでしょうか。著作権の切れた古作品の「模作」「写し」として作ったなら問題はなかったわけです。もちろん今回はそれでも×。

いっそサインまで真似れば贋作、それももちろん×ですが…

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